新会長就任記者会見および新会長就任披露・生産性運動70周年記念パーティーを開催しました
2025年6月11日
日本生産性本部は6月11日(水)、新会長就任記者会見ならびに新会長就任披露・生産性運動70周年記念パーティーを都内のホテルで開催しました。
小林喜光新会長就任、新体制発足 石破総理が披露パーティーで祝辞
日本生産性本部は6月11日に開催した2025年度定時評議員会・臨時理事会で、評議員、理事、監事の選任と、会長・名誉会長・副会長等の選定を行い、新体制が発足しました。会長(代表理事)に小林喜光前副会長(東京電力ホールディングス取締役会長)、名誉会長に茂木友三郎前会長(キッコーマン取締役名誉会長取締役会議長)が選定されました。同日夕、都内のホテルで新会長就任披露・生産性運動70周年記念パーティーが開かれ、石破茂内閣総理大臣が祝辞を述べました。


新会長就任披露パーティーであいさつした小林新会長は、「地殻変動の時こそ、前例のない変革に柔軟に機敏に即応できるよう、起こりうることを想像して今すべきことを思考する『未来から学ぶ』姿勢で改革を推進しなければならない。今後は、ウェルビーイングや安心・安全、文化・コンテンツ、食など、GDPのような従来の指標には表れない『ココロ』や『感性』が付加価値となる時代に入る。これらの価値をいかに豊かさに結びつけるかとともに、あらためて『労働生産性とは何か』という根源的な問いにも挑みたい」と抱負を述べました。
茂木名誉会長は「日本生産性本部が設立された1955年当時より、70周年の節目の今こそ、生産性運動が必要とされている。生産性運動の基盤となるのが生産性運動三原則であり、経済界、労働界、学識による三者構成と合意形成の精神が、今の日本社会に必要とされている。第8代会長に就任された小林さんには、持ち前のリーダーシップと発信力をいかんなく発揮され、生産性本部の価値をさらに高めていただくことを大いに期待したい」と述べました。
石破内閣総理大臣「人財尊重社会作りたい」
党首討論終了後、パーティー会場に駆け付けた石破内閣総理大臣は祝辞の中で、「日本生産性本部ができたころ、社会は貧しかったが、みんなに笑顔があって、助け合う世の中だった。私は、人を財産として大事にする人財尊重社会を作っていきたい。地方、中小企業、女性などの潜在力を最大限に引き出すにはどうすればいいのかを考えていきたい」と述べました。
そのうえで、茂木名誉会長に対しては、「アメリカで日系人の社会以外にしょうゆを売るのは、いかに大変なことだったか。一人ひとりが、広いアメリカをレシピと一緒にしょうゆを売って回ってきたからこそ今がある。プロダクトアウトではなく、マーケットインでやっていくことの大切さを茂木名誉会長からは教わった」と述べました。
続いて、小林新会長に対しては「経済同友会代表幹事の時代から、国の将来を憂い、媚びない姿勢で率直に発言された。日本生産性本部を舞台にして、この日本から、『新しい時代』『新しい世界』を作るために力を尽くしていただきたい」と述べました。
小林喜光新会長 「ココロ経済」掲げ 生産性運動の再構築目指す
これに先立ち行われた記者会見には、小林新会長と茂木名誉会長、前田和敬理事長が出席しました。
「哲学の時代」を考える


小林会長は、就任あいさつの中で、「日本生産性本部は、設立以来、労使の信頼に基づく協力と成果の公正分配を掲げてきた。労使の相互信頼は『ココロ経済』の根幹でもある」と指摘しました。
そのうえで、雇用の維持・拡大、労使の協力と協議、成果の公正な分配を掲げた「生産性運動三原則」については、「今日的意義を確認、共有し、経済界・労働界・学識の三者で議論を重ね、その道筋を世の中に提起することが我々の責務である」と述べました。
バブル経済の崩壊以降、成果の公正な分配が軽視されているのではないかという指摘に対しては、「生産性運動三原則に謳った成果の公正な分配と同じことを今、『成長と分配』と言葉を変えて言っている。ここ数年は、人的投資の比率を上げようというトレンドが出てきており、重要な局面に差し掛かっている」と指摘しました。人的投資やイノベーションの重要性が高まっている世界的な経済の動きに呼応して、労働分配率が上昇することに期待感を示しました。
また、ココロと感性が付加価値となる時代の労働生産性の考え方については、「数学的には、GDPを労働で割った値が労働生産性だが、単にGDPだけで良いのか、から議論しないといけない。経済活動は人々の幸せのためにあるわけで、『人間のウェルビーイングとは一体何なのか』を探る『哲学の時代』が来たと人類は思うべきだ。そもそも生産性とは何か、どう表現できるか考えることに意味がある」と強調しました。