イベント

2025年度第1回生産性シンポジウムを開催しました

2025年10月5日

日本生産性本部は8月4日、「地域観光の持続的な成長を実現する生産性向上の取り組みとは~未来の顧客をつくるために必要なこと」をテーマに、2025年度の第1回生産性シンポジウムをオンラインで開催しました。

  • 所属・役職名はシンポジウム開催日時点のものです。

地域観光の生産性向上 幅広い連携必要

はじめに「日本の観光業の立ち位置」

はじめに、鷲主央輝・同本部コンサルティング部課長は、観光業・宿泊業の生産性向上のアプローチは個社(施設)と地域を分けて検討する必要があることや、人手不足の問題は避けて通れないことを指摘しました。


旅行消費やインバウンド消費による経済波及効果

観光・行楽部門の市場規模の推移


第1部「『未来訪顧客』の発見と観光資源の最大化」

日本生産性本部 主任経営コンサルタント
高橋 佑輔氏

第1部「未来訪顧客の発見と観光資源の魅力最大化」では、高橋佑輔・同本部主任経営コンサルタントが講演しました。高橋氏は、観光産業の振興は多くのステークホルダーに広くメリットをもたらすものであると指摘。地域内の幅広い連携が必要であることを強調しました。
また、同本部が開発した「未来訪顧客調査」(当該観光地をまだ訪問していない人まで調査の網を広げた調査)を活用することで、「着地点=観光資源を見るのでなく、動機に着目することで未顧客市場を攻略できる可能性が高くなる」と説明しました。


第2部「宿泊業の生産性向上の進め方」

日本生産性本部 主席経営コンサルタント
鈴木 康雄氏

第2部「宿泊業の生産性向上の進め方」では、鈴木康雄・同本部主席経営コンサルタント、重松理貴・同本部主任経営コンサルタント、平岳彦・同本部経営コンサルタントが登壇しました。
インプット削減(効率化)に関しては、マルチタスク化(従業員が多様な業務を担当することで、顧客の動きに応じて柔軟に配慮・活躍ができる仕組み)を図ることが重要と指摘しました。また、アウトプット(売上高・粗利益の)向上に関しては、自社の強みを生かしたポジショニングを見つけ出し魅力あるコンセプト・プランを検討することの重要性を指摘しました。さらに、「おもてなしシナリオ」を用いて、顧客の行動を中心に集客、接客、フォローの場面でサービスとプロセスを検討することなどが強調されました。

一方、経営の持続性確立(財務戦略・デジタル化)に関しては、長期的に必要な設備投資を洗い出し、自社の必要利益を把握することや、生成AIを活用した業務改善やマーケティングの高度化・高速化が重要と述べました。

      日本生産性本部 経営コンサルタント 平岳彦氏(左)       日本生産性本部 主任経営コンサルタント 重松 理貴氏(右)

登壇者

ytakahashi2.jpg

秋田県出身。劇団にて全国で創作活動に携わる。その後、国会議員公設秘書、中小企業役員を経て、2018年より現職。アート×サイエンスによる越境型コンサルティングで経営改善・マーケティング・組織開発等にあたる。筑波大学大学院経営システム科学修了(経営学修士)。
【宿泊業に関するコンサルティング実績】旅館・ホテルの経営支援の他、自治体の観光戦略策定支援、特産品開発プロジェクト支援などに携わる。観光庁、岐阜県が実施した宿泊業の生産性向上推進事業に参画。ほか、広島県にて宿泊上の生産性向上セミナーとコンサルティング支援を実施。 (観光庁:2016年度、2018年度、2019年度)(広島県:2019年度) (岐阜県:2024年度)
【受賞歴】論文「旅館・ホテル業の付加価値向上のための科学的マーケティング手法の研究(2018年)」 (経済産業大臣賞(第69回全国能率大会最優秀論文賞)


suzuki.jpg

千葉大学法政経済学部卒業後、民間会社にて勤務。日本生産性本部経営コンサルタント養成講座を修了、本部経営コンサルタントとして、企業・医療、福祉施設の診断指導、人材育成の任にあたる。業績不振状態、制度疲労状態、組織不活性化状態などといった組織の状態に合わせた対応と課題設定を得意とする。
観光庁、岐阜県が実施した宿泊業の生産性向上推進事業に参画。ほか、広島県にて宿泊上の生産性向上セミナーとコンサルティング支援を実施。(観光庁:2016、2018、2019、2020年度) (岐阜県:2022、2023年度)(長野県:2024年度)

shigematsu.jpg

大学卒業後、日本政策金融公庫に勤務。在職中は融資・審査担当者を約11年、民間企業に1年出向し新規事業プロジェクト事業化に参画、本社情報システム部門にてDX担当を3年務める。
日本生産性本部経営コンサルタント養成講座を経て、現在は本部経営コンサルタントとして、中堅中小企業を中心に企業の診断指導にあたる。中小企業診断士。

【受賞歴】

論文「生成AIによる中小企業の経営革新―インプット効率化とアウトプット増大の同時実現のための実践知―」(主催:一般社団法人日本経営管理協会 経営管理黒澤賞奨励作 2025)

taira2.jpg

日本生産性本部 経営コンサルタント 平 岳彦

東洋大学文学部史学科卒業後、IT企業で法人営業・国内マーケティング・海外事業展開に従事後、経営コンサルタントとなる。デジタル技術の導入・活用と、データに基づく意思決定システムの構築、事業のパフォーマンス改善を得意とする。旅館・ホテル経営支援の他、小売店・飲食店の集客支援、製造業・サービス業デジタル化支援などに携わる。中小企業診断士、認定経営コンサルタント。
観光庁、岐阜県、長野県が実施した宿泊業の生産性向上推進事業に参画。 (観光庁:2018、2019年度) (岐阜県:2022、2023年度)(長野県:2024年度)

washinushi.jpg

<進行役>日本生産性本部 コンサルティング部 課長 鷲主 央輝

2015年日本生産性本部入職。雇用システム研究センター配属。企業・自治体等への人事処遇制度の構築、導入支援(賃金・人件費シュミレーション)を中心としたコンサルティングを担当。人事制度導入後の定着化に向けて、実務・法律の観点からトータルサポート(移行支援、評価者研修など)を企画~実施。
2022年度からコンサルティング部課長として主に金融機関との協働および金融機関向けコンサルティング、教育研修事業を担当。2023年度には岐阜県の宿泊業の生産性向上推進事業、2024年度長野県の業務改善推進事業の進行管理・統括を担当。