2025年度第4回生産性シンポジウムを開催しました
2025年12月25日
生産性向上の方策、議論
日本生産性本部は2025年12月25日、「2025年版労働生産性の国際比較~日本の現状と生産性向上の方策」をテーマに、2025年度の第4回生産性シンポジウムをオンラインで開催しました。
「デジタル技術は外部活用も検討」 木内康裕 日本生産性本部上席研究員
シンポジウムではまず、木内康裕・同本部生産性研究センター上席研究員が、昨年末に公表された「労働生産性の国際比較2025」をもとに日本の労働生産性の現状について講演しました。
そのうえで、木内上席研究員は、「生成AIを含むデジタル技術をどう実装していくかが重要なカギになる。ただ、中小企業を中心に、デジタル技術を扱える人材や資金が不足しており、自社で人材を抱え、技術を習得・活用していこうとしても困難が多い」と指摘しました。具体的なサービス事例を紹介しつつ、「必要なデジタル技術やツールを、簡単かつ低価格で利用できるサービスを利用することも解決策の1つ」と指摘しました。
「長期的視点に立った人的資本投資を」 滝澤美帆 学習院大学経済学部経済学科教授
次いで、滝澤美帆・学習院大学経済学部教授が、「日本の労働生産性を向上させるための方策とは」と題して講演しました。
滝澤氏は、過去30年間のマクロ経済に関する指標の推移を示したうえで、労働生産性の向上のためには、労働の質の向上が必要であると指摘しました。日本企業の人的資本投資の取り組みに関する調査結果をもとに、「包括的に人的資本投資に取り組む企業ほど生産性も上がる。すぐには結果が出ないかもしれないが、長期的視点に立った人的資本投資を戦略として位置づけることが重要」と述べました。
国際的にみた日本の時間当たり労働生産性

時間あたりの労働生産性でみた日本の順位

コロナ禍前水準との比較(時間あたり労働生産性・実質)

直近5年間の労働生産性と平均年収の変化(2024年/2019年(%)・実質)

登壇者

滝澤美帆 学習院大学経済学部経済学科教授
2008年一橋大学博士(経済学)。日本学術振興会特別研究員(PD)、東洋大学教授、ハーバード大学国際問題研究所日米関係プログラム研究員などを経て、2019年より現職。中小企業政策審議会、財政制度等審議会など中央省庁の委員を歴任。主な著書に「グラフィック マクロ経済学 第2版」(新世社、宮川努氏と共著)、「コロナショックと働き方」「コロナショックの経済学」(中央経済社、宮川努氏編)などがある。

木内康裕 公益財団法人日本生産性本部 生産性総合研究センター上席研究員
学習院大学経済学部 特別客員教授(2024年より勤務)。2001年、立教大学大学院経済学研究科修了。政府系金融機関勤務を経て日本生産性本部入職。生産性に関する統計作成・経済分析が専門。アジア・アフリカ諸国の政府機関に対する技術支援なども行っている。国際的にみた日本の労働生産性の実態など主要国との比較にも詳しい。 主な執筆物に「労働生産性の国際比較」(2003~2006年、2009年以降各年版、日本生産性本部)、「人材投資のジレンマ」(分担執筆、日本経済新聞社)、「新時代の高生産性経営」(分担執筆、清文社)、「Productivity Transformation」(分担執筆、生産性出版)など。