2025年度第5回生産性シンポジウムを開催しました
2026年2月2日
日本生産性本部は2026年2月2日、「健康いきいき職場づくりフォーラム 冬季シンポジウム/2025年度第5回生産性シンポジウム」を東京・平河町の同本部ビルで開催しました。新概念「朗働学」を軸に、学術、産業界、経営、マネジメント各分野から生き方・働き方を巡る議論が深められました。
オンライン併用で行われたシンポジウムには、企業の人事・労務担当者、経営者、産業保健スタッフなど約200人が参加しました。コロナ禍を経て働き方が大きく変化する中、健康と生産性をどう両立させるかが主要な関心となり、参加者は熱心に耳を傾けました。
- ※所属・役職名はシンポジウム開催日時点のものです。
「朗働学」で働き方を再定義
問題提起「健康と生産性の好循環探る」
慶應義塾大学総合政策学部教授
基調講演で慶應義塾大学の島津明人教授は、「朗働学」を「ほがらかに働くことを探究する新たな学問」と定義しました。効率や成果のみを追う働き方から転換し、健康でいきいきと働き続けられる状態を社会としてどう支えるかが重要だと述べ、個人の成長と組織の成熟を両立させる視点の必要性を強調しました。
産業界と社会の関わりの視点から
千葉大学大学院の小林正弥教授は、公共哲学の立場から企業と社会の関係を論じました。経済合理性に加え公正さや尊厳との調和が不可欠であり、朗働学は働くことを社会的価値創出として再定義する視点を与えると指摘しました。企業は社会との信頼関係を基盤に運営されるべきだと述べました。
より効果的な健康経営の視点から
産業医科大学の永田智久准教授は、健康経営の効果についてデータを示し解説。従業員が組織から大切にされていると感じる知覚された組織的支援が活力向上や安全行動に影響すると説明し、制度だけでなく風土づくりと対話の継続が成果を左右すると強調しました。
よりクリエイティブな働き方の視点から
東京大学大学院の稲水伸行准教授は、オフィス学の研究成果を紹介。活動に応じて働く場を選ぶ活動基準の働き方では自己決定感と多様なネットワークが育まれ、創造性が高まると述べ、「キーワードは自律性と繋がり」と語った。目的共有を軸にした組織設計が価値創出を促すと指摘しました。
企業経営の視点から
三菱電線工業の田島浩社長は、品質問題を契機に健康経営を経営基盤に位置付けた経緯を説明をしました。安全と対話を最優先する姿勢が心理的安全性を高め、組織の再生につながったと報告し、正しいプロセスを尊重する文化づくりが不可欠だと述べました。
職場マネジメントの視点から
三井物産人材開発の佐々木孝仁室長は、人材・組織開発の視点からジョブクラフティングやシェアードリーダーシップの実践を紹介しました。多様化する価値観の中で対話を通じ一人ひとりのやりがいを引き出すことが組織の求心力を高めると述べ、管理職が支援的役割を担う重要性を指摘しました。
パネルディスカッション
後半のパネルディスカッションでは、全登壇者が参加し、「これからの生き方、働き方はどうなるか」をテーマに議論しました。
働き方の課題は個人・組織・社会のいずれか一層だけでは解決できず、時間や働く場に余白を持たせ、経営と現場が対話を重ねながら働き方を再設計していく必要があるとの認識で一致しました。
さらに、短期的な成果だけではなく、「長期的な信頼や学習の積み重ねを重視する姿勢が重要だ」との意見も相次ぎました。
*「健康いきいき職場づくりフォーラム」は 「労働者の健康」「労働者のいきいき」「職場の一体感」を中核とした「健康いきいき職場づくり」を具現化し、働く人の心身の健康と企業の生産性向上を支援することを目的に、2012年に東京大学大学院医学系研究科精神保健学分野(当時)と当本部が共同で設立しました。