「データドリブンHR」 シスメックス人材開発部課長 松井有沙氏
日本生産性本部は2024年9月18日、第98期「人事部長クラブ」の9月例会を都内で開催(オンライン併用)した。当日は「シスメックスが推進するデータドリブンHR」をテーマに、シスメックス人材開発部課長の松井有沙氏が講演した。
KPIは付加価値生産性
松井氏は、同社が人的資本マネジメントにおいて重視していることとして、「事業に対してプラスの影響を生み出すこと」と「定量的に把握すること」の二つを挙げたうえで、人的資本投資を効果的に付加価値や生産性の向上につなげていくためには、組織文化やリーダーの存在が重要であることや、同社の人的資本戦略は人材ポートフォリオの最適化や高いエンゲージメント、最高のチームワークの発揮を通じて、付加価値と生産性を高めていくことを基軸としていること、アウトプットのKPIとして、独自に付加価値生産性(付加価値額÷労働量、付加価値額=人件費+減価償却費+営業利益、労働量=期中平均社員数×一人当たり平均総労働時間)を定めていること、付加価値生産性をKPIとしているのは人に対する継続的な投資の促進と、従業員の過重労働抑制を促すためであることなどを紹介した。
データで議論し、データで会話できる文化を醸成
人的資本マネジメントのモニタリングの体制については、毎月の人事本部会議で、部門KPIの進捗や労務費、採用状況、営業利益、平均教育時間、離職率、年次有給休暇取得状況、年間総労働時間、労働安全指標、システム統合進捗などの項目において、定量的な進捗報告・共有を行っていることや、勤怠など日々進捗するテーマについては適時データがアップデートされる形にしていることなどに触れ、「データで議論し、データで会話できる文化が醸成されている」と述べた。
「データの民主化」がデータ活用の文化をつくる
また、運用上の難しさについては、人事データ活用においては、「データの蓄積・可視化」が多くの会社にとって相当のハードルになっていることや、データを変えても組織はすぐには変わらないこと、人事データ活用を効果的に行うにはジョブ型人事制度であることが望ましいこと、「データの民主化」(関係者がアクセスできるプラットフォームがあることや、そのデータが公開されて従業員の対話につながることなど)がデータ活用の文化をつくることなどを指摘した。
第98期「人事部長クラブ」は、「人を惹きつける会社とは」を統一テーマに来年2月まで開催。
対象は、人事・労務、総務、人材、経営企画等のエグゼクティブ。
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