令和7年度「活用される総合計画策定研究会」

~ “策定して終わり”からの脱却を考える ~

■自治体の総合計画の実態と課題
 平成23(2011)年の地方自治法改正により市町村の基本構想策定義務が撤廃され、総合計画の法的根拠はなくなりました。しかし、日本生産性本部(以下、「当本部」)が令和6(2024)年度に実施した総合計画の実態に関する全国調査によれば、9割以上の団体が「今後も策定する予定」と回答する一方、多くの団体で総合計画の“形骸化"が明らかになっています。

 この背景には、策定プロセスには工夫を凝らす一方で、策定後の“運用”、すなわち日常の行政活動や市民・事業者等の活動の中で総合計画が意識されていない課題があります。また、行政改革を通じて各種マネジメントシステム(計画、予算、評価等)を導入してきたが、これらを「全体最適」の視点で連動させる発想が希薄という課題も存在します。

(ご参考)総合計画の「脱形骸化」と「成果」を生む運用体制構築のポイント


■自治体経営の「トータル・システム」化の重要性
 当本部では、この課題を解決するためのコンセプトとして、自治体経営の「トータル・システム」化の重要性を提唱し、平成24(2012)年より地方自治体の総合計画担当者等を対象とした研究会を継続開催してきました。これは多くの団体の参画を得て、ネットワーク構築や情報交換の場としても活用されています。

 「トータル・システム」化とは、個々のシステム(計画、予算、評価等)が全て同じ方向を向いている状態を指します。この状態が達成されれば、「運用される総合計画」の策定が可能になります。

トータル・システムのイメージ.png

■今後の総合計画の策定に向けて
 少子高齢化が進行する中、地方自治体の経営環境は厳しさを増し、地方創生2.0、SDGs、DXなど新たな課題も多様化しています。限られた行政資源を効率的に配分・活用するためには、最上位計画である総合計画に基づく適切な行政マネジメントが不可欠です。
 総合計画は「地域のビジョン」として協働を促進するプラットフォームでもあり、行政経営と地域経営の「トータル・システム」化をめざす、総合計画“2.0"とも言うべき新たなあり方が期待されています。

 上記の基本認識のもと、当本部では、先進的事例の収集と議論を通じて各団体の新たな総合計画のあり方を検討する場として、地方自治体の総合計画実務担当者を対象とした研究会を本年度も開催いたします。皆さまのご参加を心よりお待ちしております。

開催日程

[第1回]7月2日(水)13時30分~16時30分
[第2回]7月23日(水)13時30分~16時30分
[第3回]8月18日(月)13時30分~17時00分程度 ※第3回は長野県小諸市への現地視察を行います。
[第4回]9月30日(火)10時00分~16時30分

対象


総合計画所管部門のご担当者
※ご都合に応じ、各回の会合への代理の方のご参加も承ります。

定員


10団体程度 (1団体につき2名迄ご参加を承ります)
※申込多数の場合は、先着順とさせて頂きます。

研修時間


第1回:13時30分~16時30分
第2回:13時30分~16時30分
第3回:13時30分~17時00分程度
第4回:10時00分~16時30分程度

講師


公益財団法人日本生産性本部 ファカルティフェロー 
横浜市立大学 国際商学部・大学院国際マネジメント研究科准教授 
 佐藤 亨 氏
千葉県市原市 資産経営部公共資産マネジメント課企画調整係係長
 梅宮 隆一 氏
岩手県滝沢市 市民環境部地域づくり推進課主査 
 川嶋 陽 氏
長野県小諸市 総務部企画課長 
 小林 秀行 氏

会場


公益財団法人日本生産性本部(東京都千代田区平河町二丁目13-12) 他
(アクセス)アクセス | 日本生産性本部について | 公益財団法人日本生産性本部 (jpc-net.jp)
※8/18(月)のみ長野県小諸市での開催です。

参加費(税込) 消費税率10%を参加料に含めております。
税率が変更された際は、原則、事業開始日の税率を適用した消費税を含めた金額を、特にご案内なく参加料といたしますので、ご了承ください。


33,000円 (税込・1団体)
※消費税を含みます。
※小諸市への現地視察(第3回)に係る交通費・宿泊費等は含みません。

研修の特徴

特徴
1

①先進団体の実務担当者による事例報告(市原市、滝沢市、小諸市他)

 総合計画を効果的に活用している市原市(千葉県)、滝沢市(岩手県)、小諸市(長野県)の各事例を検討し、総合計画の効果的な運用を実現するために検討すべき論点を深堀します。
 推進担当者等による事例報告と意見交換を通じ、先進団体の総合計画のあり方を詳しく検証します。

特徴
2

②各団体が今後の総合計画策定の参考にできる視座を提供

 先進団体でも最初から効果的な総合計画の策定・運用がなされていたわけではありません。
 どのように総合計画を起点に行政、そして地域の経営の質を高めていくことができるのか、ポイントを議論します。

特徴
3

③単なる受講型の研究会ではなく、策定方針(担当者私案)を発表

 行政評価や予算編成の仕組み、庁内体制、職員の意識と能力、住民の参画の状態など、各団体が置かれている環境は様々で、先進団体の取り組みをそのまま取り入れてもうまくいくとは限りません。
 先進団体の事例検証と議論を踏まえた後、最終回に向けて自団体の次期総合計画の策定と運用の方向性を、「私案」としてまとめます。

プログラム概要

[第1回]7月2日(水)13時30分~16時30分
基調講話 「総合計画とマネジメントについて」
公益財団法人日本生産性本部 ファカルティフェロー 横浜市立大学 国際商学部・大学院国際マネジメント研究科 准教授 佐藤 亨 氏
 総合計画を真に実効性あるものとするためには、計画・予算・評価などの行政経営の様々なシステムと総合計画が連動し、同じベクトルを向いた状態である「トータル・システム」化を考えなければなりません。本研究会の特別講師である佐藤准教授に、今後の総合計画に求められる「トータル・システム」化の発想の基本となる考え方についてご講話を頂きます。

発表 「自団体の現状と課題認識について」
研究会メンバー
 各団体によって、行政のマネジメントに用いる様々なシステム(計画・予算・行政評価や人事評価などの仕組み)や、職員の意識と能力、住民の意識や参画の状態など、総合計画の運用環境は様々です。初回にはまず、自団体の現状と課題を発表頂きます。

[第2回]7月23日(水)13時30分~16時30分
事例報告 「トータル・システムの構築に向けて – 市原市の総合計画の展開 –」
千葉県市原市 資産経営部公共資産マネジメント課企画調整係係長 梅宮 隆一 氏
 市原市では総合計画策定方針を定め、総合計画の位置づけや根拠、総合戦略との関係性などを明確化しています。また、総合計画審議会による総括評価を導入しており、成果指標の達成状況等を踏まえた計画全体の効果検証と、新たな計画策定の方向性の提示が行われています。総合計画と各計画の総合化を通じ効果的な運用が実現している市原市の事例について、ご担当経験を踏まえてお話頂きます。

事例報告 「トータル・システム構築に向けて – 滝沢市の総合計画の展開 –」
岩手県滝沢市 市民環境部地域づくり推進課主査 川嶋 陽 氏
 滝沢市では限られた経営資源を効果的・効率的に活用するため、市の行政運営上重要となる視点を定めています。また、行政経営の「品質」を向上させる取り組みを契機として、総合計画を核とした行政改革に取り組むとともに、地域経営にも変革を拡大してきた岩手県滝沢市の事例について、ご担当者よりお話頂きます。

事例研究 「先進事例から学ぶ実践的ヒント」
研究会メンバー
 市原市、滝沢市の事例報告を踏まえ、自団体への新たな視点について議論します。

[第3回]8月18日(月)13時30分~17時00分程度
※第3回は長野県小諸市への現地視察を行います。なお、現地視察に係る交通費・宿泊費等は会費に含まれません。
事例報告 「小諸市の総合計画の展開」
長野県小諸市 総務部企画課長 小林 秀行 氏
 小諸市では2013年に開始した第9次基本計画の策定を契機として総合計画に基づく行政経営を展開してきました。2016年に開始した第5次基本構想では行政経営から地域経営へ、さらに第10次基本計画では財政目標を設定するなどの改善を繰り返し、2021年には第11次基本計画を策定しています。総合計画を中核とした行政経営の深化を続ける小諸市の事例についてお話頂きます。

市内視察 「総合計画を踏まえた官民連携事業について」
 小諸市の事例報告を踏まえ、市で実施されている官民連携事業のうち、Park-PFI(都市公園の利便性や魅力を高めるために、民間事業者を公募して公園の整備や運営を任せる制度)を利用したワイナリー&レストランの取り組みや、国のローカル10000プロジェクトを活用した民間企業の事例などをご説明いただいた後、当該箇所に視察に伺います。

[第4回]9月30日(火)10時00分~16時30分
発表 「新たな総合計画のあり方に関する私案について」
研究会メンバー
 各団体の先進事例報告からの視座を踏まえ、自団体の次期総合計画の策定と運用の方針を「私案」として発表して頂きます。

講評
公益財団法人日本生産性本部 ファカルティフェロー
横浜市立大学 国際商学部・大学院国際マネジメント研究科 准教授 佐藤 亨 氏
 各団体のご発表内容を踏まえ、新たな総合計画の策定と運用における取組みのポイントを整理していきます。

キャンセル・変更のご依頼について

開催7営業日前以降のお取消しは、以下のキャンセル料を申し受けます。
代理の方のご参加か、お早めのご連絡をお願い申し上げます。

開催日7~4営業日前 参加費の30%
開催日3営業日前~前々日 参加費の50%
開催日前日および当日 参加費の全額

備考

1.お申し込み方法について
 本ページ内の専用フォームからのご送信、または以下掲載の「参加申込書」に必要事項を記入の上、メールまたはファクシミリにてご送付ください。
 開催のご案内と請求書は、開催の1週間前を目途にお送り申し上げます。

2.意見交換会の開催について
 
担当者相互の自由な情報交換・意見交流をはかるため、各回ともご意向に応じ、終了後に近隣にて1時間程度の意見交換会(懇親会)の開催を検討します。
 詳細は追ってご案内申し上げます。

本プログラムは企画段階のものであり、変更となる可能性がございます。予めご了承ください。
お問い合わせ先

公益財団法人日本生産性本部 自治体マネジメントセンター
(担当:冨田・田中)

WEBからのお問い合わせ

電話のお問い合わせ

  • 営業時間 平日 9:30-17:30
    (時間外のFAX、メールなどでのご連絡は翌営業日のお取り扱いとなります)

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