2025年度第3回生産性シンポジウムを開催しました
2025年11月12日
生産性運動70周年・経営アカデミー60周年を記念した「2025年度第3回性シンポジウム『経営アカデミーリーダーズフォーラム2025』」が11月12日に都内で開かれ、コース参加者・派遣元・修了者等が出席しました。第1部では「次世代リーダーたちが語る、リーダーシップの軌跡とこれから」と題し、3人の修了生が、仕事の経験を通したリーダーシップのあり方などについて語りました。
修了生が語るリーダーシップとは?
みんなで決めた納得感が重要 玉城和美 AGC執行役員広報・IR部長
・IR部長
AGC執行役員広報・IR部長の玉城和美氏(2008年度経営財務コース修了)は、信託銀行で株式のアナリストとして担当したことがきっかけで、AGC(旧旭硝子)に転職しました。AGCではIRや広報、サステナビリティ推進部などを経験しました。印象に残っているのは、AGCへの社名変更を全社プロジェクトとして行ったことです。6人の小グループでまとめましたが、ブランドステートメントを決める段階で「意見を言わせてほしい」という声が上がり、仕切り直しをました。「みんなで取り組んだという納得感が重要だと学んだ」と述べました。
玉城氏は「任せてもらえると力を発揮するメンバーもいれば手を差し伸べないと前に進めないメンバーもいます。大事なことは、コミュニケーションをとって、一緒に行動することだ」と指摘しました。
自発性引き出すことを重視 岸恵一 コニカミノルタ執行役員技術開発本部長
技術開発本部長
コニカミノルタ執行役員技術開発本部長の岸恵一氏(2021年度経営戦略コース修了)は、京セラ、マイクロソフトを経て、コニカミノルタに入社し、2024年度から技術開発本部の本部長となりました。
マイクロソフトでは、顧客視点で考えることを学びました。ウィンドウズXPの不具合を調べると、95%がマイクロソフト以外の事業者に起因していることが分かりましたが、「ウィンドウズを使っているユーザーには関係ないことで、顧客視点で考えれば、何が原因かをマイクロソフトが突き止めないといけませんでした」。
また、コニカミノルタでは「リーダーシップは何か」を学んでいる最中です。方向性を明確にし、メンバーの自発性を引き出すことを重視しており、これまで意識していたことと共通しているとの考えを示しました。
仲間を信頼し重大な決断下す 松岡宏治 全日本空輸執行役員労政部長
労政部長
全日本空輸執行役員労政部長の松岡宏治氏(2000年度人務コース修了)は、全日空入社後、千歳空港支店、整備本部、客室本部などに配属されました。日本生産性本部に1年間出向したほか、全日本空輸労働組合にも専従しました。
整備本部での学びは、ある時、熟練の整備士が「この飛行機をドッグアウトさせてはだめだ」と言ったときのことです。表面のネジの緩みがあったが、幅や高さは制限値内でした。一日整備期間が長くなると、1000万円以上の損失が出ますが、責任者はドッグアウトを遅らせました。
調べた結果、内部にヒビが見つかりました。すぐに影響が出るものではありませんでしたが、長く使っていると影響が出かねないものでした。仲間を信頼し、大きな決断をした姿勢からは学びがありました。
目的を考え手段は柔軟に
早稲田大学ビジネス・ファイナンス
研究センター研究院教授
この後、経営アカデミー学長で早稲田大学ビジネス・ファイナンス研究センター研究院教授の沼上幹氏との対話が行われました。
沼上氏 どういうリーダーシップスタイルを心がけていますか。
玉城氏 以前はトップダウンだと思っていたが、実際はボトムアップやミドルアップダウンなどが多いです。その場に応じて使い分けることを心がけています。
岸氏 技術開発は私自身がよく分からない領域もあります。プロ集団のトップであるので基本的にはボトムアップです。分からない分野は「教えてほしい」と言います。それで活発な議論が起こればよい。最終的にはリーダーが決断します。
松岡氏 間違いなくボトムアップです。エアラインは労働集約型で、現場の最適な状態を目指しています。この決断で良かったとみんなが思えるスタイルが理想です。
沼上氏 企業人として成長する中で、ロールモデルとなった人はいますか。
松岡氏 日本生産性本部出向時、『民主主義とは何か』など、上司からの本質的な課題の問いかけや掛け合いが学びとなりました。また、コロナ禍で上司がどっしり構えて「責任は取るから」と笑顔で言われると、自信を持って取り組めました。
岸氏 憧れている先輩や上司がいました。振り返ってみるとそれぞれがロールモデルでした。学びながら成長することができました。
玉城氏 任せてくれる上司がたくさんいました。そういう上司になりたいと思いました。反対に、一方的に悪い評価を下された上司もいました。私にとっての反面教師で、人の話を聞かない上司にはなりたくないと思いました。
この後、第2部「実践知の軌跡―過年度グループ研究紹介」では、過去3年程度のグループ研究の中から、6つのグループが研究内容を発表しました。
経営アカデミー60年の軌跡を回顧
フォーラムの冒頭、経営アカデミー60年の軌跡が事務局から紹介されました。
経営アカデミーは1965年、日本生産性本部創立10周年を記念して開設され、日本初の本格的な経営大学院として、経営人材育成を担ってきました。設立趣意書には「今日の企業にとって、最大の課題は『人』の問題」であり、「多難な時代に直面して、これからの日本経済の発展に真に応えうるような人材を、意欲的に開発育成していくことが、このアカデミーを開設する目的」と記されていました。
経営アカデミーのコースは、70~80年代には、経営の基礎や国際化、90~2000年代は構造改革やグローバル競争、2020年代にはDX・人的資本経営など、常にその時代の経営課題を映してきました。これまでの参加企業数は1024社、修了者数は1万5834人を数えるなど、人と組織の成長を支えるネットワークが築かれています。
60年の歩み

創設の理念

学びを支える講師陣

次の時代へ向けて

経営アカデミー60年の軌跡についてはウェブページから見ることができます。
関連リンク
登壇者

コニカミノルタ株式会社 執行役員 技術開発本部長 岸 恵一 氏
(2021年 経営戦略コース修了)
大学でコンピュータサイエンスを専攻後、京セラ株式会社にて携帯電話の組み込みソフト開発に従事。
Microsoftに転職後Windows開発チームのリーダーとしてグローバルに活躍。
ハードとソフト両方に関わる技術開発を志し、コニカミノルタ株式会社へ入社。
画像AI/IoT技術プラットフォーム「FORXAI」の企画・立ち上げをリードし、
2024年度より全社横断の開発部門である技術開発本部の本部長として、材料・光学・微細加工・画像などのコア技術とAI・IoTを融合した開発を推進。
現場での課題に対し、技術を通じた解決と新たな価値創出を目指している。
経営アカデミー学長
学校法人早稲田大学ビジネス・ファイナンス研究センター 研究院 教授 沼上 幹 氏
1983年3月一橋大学社会学部卒業
1988年4月 成城大学経済学部 専任講師
1991年4月 一橋大学商学部付属産業経営研究所 専任講師
1992年4月 一橋大学商学部付属産業経営研究所 助教授
2000年3月 一橋大学大学院商学研究科 博士
2000年4月 一橋大学大学院商学研究科 教授
2011年1月 一橋大学大学院商学研究科 研究科長(~2012年12月)
2014年12月 一橋大学 副学長(~2020年8月)
2018年4月 一橋大学大学院経営管理研究科 教授
2023年4月 早稲田大学 ビジネス・ファイナンス研究センター研究院教授