調査・研究新入社員意識調査

平成27年度 新入社員のタイプ

平成27年度 新入社員のタイプは「消せるボールペン型」

2015年3月24日
公益財団法人 日本生産性本部

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公益財団法人 日本生産性本部の「職業のあり方研究会」(座長 ライズコーポレーション株式会社 代表取締役 岩間 夏樹氏)は、平成27年度の新入社員の特徴をまとめた。「職業のあり方研究会」は、若年者の就労支援、教育の専門家などで構成され、多くの企業、学校等の就職採用関係者の協力を得ながら、その年の新卒入社者の特徴や就職採用環境の動向などについて調査研究を行っている。

○平成27年度新入社員のタイプについて

「消せるボールペン型」

見かけはありきたりなボールペンだが、その機能は大きく異なっている。見かけだけで判断して、書き直しができる機能(変化に対応できる柔軟性)を活用しなければもったいない。ただ注意も必要。不用意に熱を入れる(熱血指導する)と、色(個性)が消えてしまったり、使い勝手の良さから酷使しすぎると、インクが切れてしまう(離職してしまう)。

2001年に国内販売が開始された消せるボールペン。様々な進化を経て、代表的なものは世界で10億本を売るヒット商品となった。今や一般的な筆記具となったが、その商品化までには30年もの年月がかかり、日本が誇る高度な技術の結晶といえる。

入社式を迎える新入社員の見かけは毎年同じだが、その資質や特性は変化している。消せるボールペンも特別なボールペンの姿をしているわけではない。見かけだけで判断せず、その最大の特質である“書き直しができる機能”(変化に対応できる柔軟性)を活かして欲しい。

ただ、新しい特質には注意も必要だ。「消せる」のは「消える」のではなくインクの色を摩擦熱で透明にするのだという。そのため、車のダッシュボードや熱い飲み物の下など、温度の高いところに不用意に書類を置くと文字が透明になってしまう。新入社員をすぐ即戦力にしようと思い、熱を入れる(熱血指導する)と、色(個性)を消しかねない。また、使い勝手の良さから酷使しすぎると、いわゆるブラック企業と誤解され、すぐにインクが切れてしまう(早期に離職してしまう)危険性をはらんでいる。

新入社員の皆さんには、若いうちは何度でも「書き直し」ができると思って、失敗を恐れず、のびのびとチャレンジをして職業人としての経験を積んで欲しい。

○平成27年入社組の就職活動の特徴 

堅調な企業業績が反映し、新卒の採用も活発化する傾向にある。大学等卒業予定者の就職内定状況調査(2月1日時点、厚生労働省・文部科学省)における今春卒業予定の大学生の内定率は86.7%で、現行制度(12月情報解禁、4月選考開始)になった2013年の81.7%、2014年の82.9%から増加している。2011年前後の超氷河期からはかなり回復し、リーマンショック前の水準に近づいている。これは新入社員の意識にも影響を与えると予想され、4月実施の新入社員意識調査の結果が注目される。

本年入社の大卒新入社員は、現役生であれば、東日本大震災の直後に大学に入学している。高校の卒業式がまさにその当日だったり、大学の開講日がゴールデンウィーク後になったりといった体験をした。また大学卒業の直前にフランスでテロ事件が起きたため、卒業旅行の行き先を変更したといった話も聞く。こうした様々な状況変化に対応してきた世代である。