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ILCのイノベーション効果:45兆円

2013年6月11日
公益財団法人 日本生産性本部

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公益財団法人 日本生産性本部の生産性総合研究センターは、「国際リニアコライダー(ILC)」を日本に建設した場合の日本の産業界に起きるイノベーションの経済効果を試算した。

従来、基礎科学研究における投資効果測定は、研究成果等から派生するイノベーション効果を含まないため過小に評価される傾向にあった。今回のモデルでは、[1]先端技術を開発することで派生するサプライヤー産業でのイノベーション効果(一次効果)、[2]開発された先端技術を利用するユーザー産業で派生するイノベーション効果(二次効果)を測定している。試算にあたっては、欧州合同原子核研究機関(CERN)等での実績を参考にできるILCを事例として取り上げた。結果は以下の通り。

■ILC(国際リニアコライダー)によるイノベーションの経済効果は、30年間で計44.7兆円

  1. 1.「先端加速器産業」の経済効果(一次効果)・・・12兆1,300億円

    ILCの中核技術である加速器や、加速器・測定器の部品・素材等の製造に関わる産業における経済効果。ILCの建設・運用による直接の受注、それに伴う製品・材料等での技術革新による市場拡大、世界市場における日本企業の国際競争力向上等を含む。

  2. 2.「加速器利用産業」の経済効果(二次効果)・・・32兆6,000億円

    加速器から生成される1次ビーム(イオン、電子線等)および2次ビーム(放射光、自由電子レーザー、陽電子、制動放射X線等)を利用・応用する産業における経済効果。半導体加工等の工業利用、医学医療、農業利用等の合計。

  • ILCは2015年から10年かけて建設され、その後20年間運用されることを前提とした。
  • ILCのイノベーションがもたらす経済規模拡大(ILCが無くても見込まれるトレンド分は含まず)による経済効果を基本とした。また、イノベーションの経済効果が大きいと考えられる創薬、IT、エネルギー(電池等)は、基礎データが揃わないため対象から外した。
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