調査・研究メンタル・ヘルス

平成12年 メンタル・ヘルス研究所調査報告

2000年8月24日
公益財団法人 日本生産性本部

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平成12年メンタル・ヘルス研究所調査報告

第1部:JMI健康調査による職場不適応とメンタルヘルス

~自殺、事故、離職、仮病~

  1. 1.職場不適応の代表例である「自殺・事故・離職・仮病」の間に共通因子はない。最もメンタルヘルスと関連のあるものは自殺予備群である。また、相互に関連の深い因子は、「疲労感」「仕事の重圧」である。
  2. 2.産業人の自殺予備群(-自殺念慮-「死にたいという気持ちがある」)は、5.5%と推定される。自殺予備群に最も高く相関する因子は、「不安」と「自信欠如」である。次に相関が高い因子群は、職場・仕事に関係の深い「集中力欠如」「疲労感」「仕事の重圧」である。また「ひきこもり」「疎外感」も同程度であるが、「職場の人間関係」の影響は少ない。
  3. 3.離職傾向のある人は、「仕事の適応感」「職場の雰囲気」「評価の不満」の因子と相関が高い。離職は、現在の職場・仕事での不満が高い事による内部要因によって影響されている可能性が高い。

第2部:労働組合メンタルヘルスJMI共同調査

  1. 1.労働組合員と管理職の比較では、組合員の仕事のおもしろさ、負担感、将来性などの職場健康度と不安、不安定さなどの精神健康度で、組合員レベルの低さと格差の大きさが目立ち、一般社員レベルのメンタルケアの必要性をうかがわせる。
  2. 2.研究職の職場・精神健康度(52.1、52.6)は良好であるのに対し、製造組立職は全職種で最低ランクの健康度(職場46.2、精神50.1)である。製造組立職の職場健康度での仕事の適応感、正確度の低さ、高負担感と精神健康度の不安感と社会的無責任の高さは、産業基盤の弱体化につながる可能性がある。
  3. 3.年齢別比較では、若年層は上司からの支援を受け、仕事への意欲は高く元気に振る舞いながら仕事をしているが、一方で負担感は強く失敗やミスを気にかけており、不安を抱えている。「仕事の適応感」「帰属意識」「負担感のなさ」「仕事の正確度」は、年齢が上がるに従い概ね良い方向へ動いていく反面、「仕事への意欲」「評価の満足度」「将来への希望」は加齢と共にポイントが下がっていく傾向が特筆される。なお、40代男性では、職場の同僚との関係が希薄になっており、孤独感を抱え、自信がなく失敗を恐れている傾向がみられる。
  4. 4.男女比較では、女性は男性と比較して負担感が強いが、仕事の適応感が高く活発で元気があり、男性は女性より「自己顕示」が低く「被暗示」(周囲の影響を受けやすい)「自己不確実」(自信のなさ)の傾向が強く出ている。
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