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保育サービス研究会・提言「新しい次世代育成支援の仕組みに向けて」

~新しい保育の仕組みとその課題~

2009年8月31日
公益財団法人 日本生産性本部

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財団法人 日本生産性本部の「保育サービス研究会(座長:駒村康平 慶応義塾大学教授)」は、「新しい次世代育成支援の仕組みに向けて」について、提言を取りまとめた。

保育サービスの現状と問題点を指摘するとともに、厚生労働省が提示した新しい保育制度の仕組みが成立するための条件や行政の役割を整理し、さらなる検討課題を示している。

保育サービス研究会 提言

「新しい次世代育成支援の仕組みに向けて」
~新しい保育の仕組みとその課題~

少子高齢化は、社会保障制度の持続可能性のみならず、日本社会の持続可能性を揺るがす現在日本が直面している最大の問題の一つである。少子化の原因は、様々あるが、仕事と生活の両立が困難であることが重要な要因となっている。

少子化と既婚女性の労働力率の動向は、子育て世代だけの問題ではなく、高齢者を含んだ広くすべての世代に関わる問題であり、その対応のための子ども・家族福祉に関する政策は、他の社会保障制度に優先される緊急かつ最優先の課題である。

  1. 1.保育サービスの現状と問題点
    • 待機児童は4万人と言われているが、これは顕在化した保育需要にすぎず、潜在需要がどの程度あるのかについては明らかになっていない。
    • 日本の既婚女性の労働力率は、ここ10年間ほとんど上昇していない。
    • 日本では、GDPの0.8%しか家族・子育て政策に投入されていない。
  2. 2.新しい保育制度の仕組みとその成立条件
    • 保育制度改革が有効になるために、保育のための安定財源確保が「必要条件」であり、緊急かつ柔軟な保育サービスの供給拡大が「十分条件」である。
    • 政府は、子どもを育てながら働く親を応援し、ワーク・ライフ・バランスを進めるよう企業を応援する仕組みを導入すべきである。
    • 市町村には、利用者に対して公的保育サービスが受けられる地位の付与、利用調整、保育サービスの整備計画作りなどの役割を果たすことが求められる。
  3. 3.新しい仕組みとその課題
    • 契約制度への切り替えによって、必要な児童に保育サービスが届かなくなることはないか、新規参入により、介護で起きたような不正や保育サービスの質の低下につながらないか、などの問題を考えていく必要がある。
    • 母子・父子家庭や虐待児童が取り残されないようなセーフティネット、利用料が高くなることにより低所得者が保育サービスを利用できなくなることを防ぐ仕組み、サービスの質を下げたり、保育士の賃金を下げたりしないように、収入、費用、利益といった会計データを公表する仕組みなど、さらに検討していくことが今後の課題である。
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