調査・研究その他の調査研究・提言
世界の暮らしとエネルギーに関する調査
2005年6月13日
公益財団法人 日本生産性本部
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1.調査の目的
- 顕在化する地球環境問題をはじめ、世界全体としてのエネルギー消費の抑制を検討するためには、各国のエネルギー消費やライフスタイルの現状を把握し、省エネルギーの可能性や将来的なエネルギー需要等に関する情報を把握する必要がある。
そこで、本調査においては、まず、欧米主要国における家庭用エネルギー消費の状況やその他のライフスタイルの指標に関する調査を実施しており、世界におけるわが国の生活水準及びエネルギー消費水準の位置づけ、今後の途上国を含めた世界のエネルギー消費の動向の検討に資すると共に、生活者の省エネルギー活動を促すための情報提供を目的としている。
2.調査概要
- 調査対象:アメリカ、カナダ、オーストラリア、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、スウェーデン、デンマーク、日本
- 調査期間:2004年7月~2005年3月
- 調査項目:各国の家庭用エネルギー消費及び影響を及ぼす住宅構造や世帯類型、ライフスタイル、使用されている機器等について調査を実施。各国のデータの調査項目、調査年次等のばらつきがあるが、可能な限り経年データを収集。主な調査項目は、以下のとおり。
<基本情報>人口、GDP、世帯数
<住宅データ>
住戸ストック 保有形態別(持ち家または賃貸)、建物種類別住戸数、世帯人員別住戸数、建築年別住戸数
住戸フロー 保有形態別(持ち家または賃貸)、建物種類別住戸数
床面積 平均、または度数分布 保有設備(エネルギー関連) 暖冷房設備(使用燃料別)、給湯設備(使用燃料別)
<エネルギーデータ>
世帯当たり住宅エネルギー消費量 燃料別/用途別/燃料別×用途別(自動車用燃料を含む)
世帯当たり住宅エネルギー費用 燃料別/用途別(自動車用燃料を含む)
機器保有データ
<台所製品>:オーブン、レンジ、グリル、冷蔵庫(容量/年代別)、冷凍庫、食器洗い機、電子レンジ
<家電製品>:エアコン、テレビ、衛星放送チューナー、ビデオ、DVDプレーヤー、ステレオ、PC、洗濯機、衣類乾燥機、電気温水器
<その他>:自動車、インターネットユーザー、携帯電話普及率
機器別エネルギー消費量 冷蔵庫、冷凍庫、食器洗い機、洗濯機、衣類乾燥機、レンジ
家庭用エネルギー価格 燃料別
<その他各種指標>
エネルギー使用に関連する各種指標、行動
断熱性能、冷暖房温度設定、食器洗い機使用頻度、洗濯機使用頻度、洗濯機の温水設定温度、衣類乾燥機使用頻度、調理回数(Hot)、照明種類、生活時間、テレビ視聴時間、シャワー・入浴回数、水使用量等
- 調査方法
- 文献・ウェブサイト調査により各国の統計資料および実態調査結果からデータ収集を実施し、各国のデータ及びデータ整備の状況について調査。さらに、当該各国の研究機関やエネルギー関連企業等への現地ヒアリング調査を実施し、より詳細なデータを収集。
- 本調査は、(株)住環境計画研究所(代表取締役所長 中上英俊)への委託により実施。
3.調査結果の概要
- 最終エネルギー消費
- 各国の最終エネルギー消費は、アメリカが圧倒的に大きく、日本の4倍弱となっている。増加率で見ると、オーストラリア、日本が大きく、日本は2002年(1990年比)には20%増となっている。ドイツは、1990年以降、1994~96年を除き減少傾向にある。アメリカの最終エネルギー消費は、1995年以降安定しており、2002年の増加率(1990年比)は約10%となっている。
- 家庭部門の最終エネルギー消費は、1990年を基準に経年で見ると、気候の影響もあるためか、変動が激しく傾向が把握しにくいものの、日本、オーストラリアは増加傾向にある。日本の家庭部門の最終エネルギー消費は、2002年(1990年比)には28%増加している。
- 最終エネルギー消費の内訳比率では、日本、オーストラリアは産業部門の比率が大きいが、縮小傾向にある。アメリカ、オーストラリアは運輸部門の比率が大きく、イギリス、デンマーク、ドイツ他EU諸国では家庭部門の比率が大きい。なお、図.1に各国の最終エネルギー消費の内訳を示す。