経営支援産業の育成・創出に関する総合調査研究
2002年4月4日
公益財団法人 日本生産性本部
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報告書要旨
1.目 的
情報技術革命とグローバル化という大きな2つの影響を受けて、企業は経営革新とともに新しいビジネス・モデルの構築に取り組んできている。このプロセスで、企業を支援する産業として、「経営支援産業」と呼ぶべき一群の業種・業態が大きな貢献をしている。
ここで言う「経営支援産業」を定義すると「産業構造の変革と人材流動化の時代にあたり、経営活動の革新、人材の開発・育成など企業の数多くの課題に対して、国際化、効率化などの観点から、マネジメント・サービスを担っている産業の総称」といえる。
しかし経営支援産業にもまだ解決すべき諸課題が残されており、調査によると、<1>経営支援産業に対して情報公開を求める声があること、<2>経営支援産業はそれぞれ専門特化しつつあるものの、そのため却って、徐々に融合化して新たな業態開発の方向が見られることが明らかになった。経営支援産業をさらに育成し、新たな経営支援活動の創出を図るためには、個別の業界の枠を超えて、「経営支援産業」として結集し、新たなビジネス・モデルを確立することが求められる。
こうした認識のもとに、本調査研究では、わが国企業の国際競争力強化に資する「知の戦略的協議会」として、顧客企業とのコラボレーション(共創)をめざした「経営支援産業の新しい業界組織(協議会)」を設立することを提案し、その目的と活動内容について具体例を示した。
2.経営支援産業・新協議会(仮称)の設立について
2-1.経営支援産業に含まれる業種
- 1.シンクタンク 経営コンサルティング 会計監査法人 IR・広報支援
- 2.リスクマネジメント支援 ISO支援 IT関連(ソフト開発・ネットワーク等)
- 3.人材派遣 能力開発・教育研修 職業紹介 アウトプレースメント
- 4.ネット転職サービス マーケティング・リサーチ ベンチャー支援
- 5.M&A リーガル・サービス 知的財産権関連 NPO法人 その他
2-2.新協議会の目的
新協議会は、顧客企業と経営支援産業との共創によって、以下の目的を達成する。
- <1>経営支援産業の社会的信頼性の向上を図る
- <2>顧客企業と経営支援産業のネットワークを構築する
- <3>経営支援産業としての新しいサービスについて開発研究を行う
- <4>経営支援産業発展のための調査研究・社会的提言を実施する
- <5>その他顧客企業のニーズに合致した活動を展開する
2-3.主な活動
- <1>経営支援産業をより利用しやすくするための積極的に情報提供を行う
- <2>倫理基準を策定して、顧客企業からの信頼性を高めていく
- <3>業界横断的なスキル評価認定制度や資格制度を構築して、専門性の保証を強化する
- <4>経営支援産業間の連携や協力のための相談に応じる
- <5>顧客企業のニーズ把握のため、実態調査や懇談会を実施する
- <6>顧客企業の参加を得て、新しい経営支援サービスのモデルの開発研究を行う
2-4.活動の形態
- <1>会員の相互交流を目的としたプロジェクトの実施
- <2>新協議会のPRを目的とした活動
- <3>経営支援産業の機能面から見たグループ毎の活動(例示:A.社会変化への適応グループ、B.制度化支援グループ、C.人材ビジネスグループ、D.システム改革グループ)