提言活動その他の調査研究・提言
新しい日本をつくる国民会議(21世紀臨調)・首相主導を支える政治構造改革に関する提言
2001年11月8日
公益財団法人 日本生産性本部
調査研究・提言活動 資料ダウンロード
提言要旨
■基本的な方向■
- 1.政府・与党二元体制を打破し「内閣一元」を実現~内閣の主体的法案提出権の確認~
- (1)内閣は与党にかかわりなく、独自の判断で法案を国会に提出できるという憲法原則を再確認。
少なくとも、与党の事前承認がなければ内閣は国会に法案を提出できないという従来までの「与党事前審査・承認慣行」は廃止。 - (2)政務調査会は、政府にたいする政策や議員立法の立案、党綱領や選挙公約立案の場に役割を転換。
- (3)連立与党間協議が首相の指導力の発揮を縛り、内閣の主体的な法案提出権を妨げる現状を是正。
- (4)閣議に請議される前提として手続き化された事務次官等会議による「事前承認慣行」の廃止。
- (1)内閣は与党にかかわりなく、独自の判断で法案を国会に提出できるという憲法原則を再確認。
■そのために必要な各分野の改革■
- 1.国会審議にたいする内閣の協議関与権を確立し、与党にたいする内閣のリーダーシップを確保
- (1)議院運営委員会は議長主宰とし内閣代表の「出席権」と提出法案の審議スケジュールに関する内閣の「協議関与権」を認める。
- (2)非公式な国会対策委員会は廃止。
- (3)衆議院は、国会議員である副大臣または政務官が委員会の理事として参加することを容認。
- (4)大臣、副大臣、政務官はチームとして活動。副大臣・政務官についての首相の実質的な人事権を認める。
- 2.会期不継続原則を廃止し、スケジュール自体が争点となる与党依存の「駆け引き型の国会運営」を改革
- (1)常会の会期延長等を通じて事実上の「通年国会」を実現。
- (2)国会法第68条等を改正し「会期不継続の原則」を廃止。
- (3)「逐条審議」を導入し、審議拒否より議論に参加することが野党最大の抵抗手段となりうる新しい審議のあり方を確立。
- 3.与党審査と一体の関係にある「政党の党議拘束」を根本改革し、実質的な議論を国会内に移行
- (1)所属議員にたいする法案国会提出前の「事前」の党議拘束は自粛。
- (2)党議は本会議最終表決にあたっての投票態度を統一するためのものとし、それに先立つ所属議員の自由な討論・活動を保障。
- (3)議案の性格によって党議に軽重をつけ、各党の綱領や選挙公約以外は原則として党議の対象から外すことを検討。
- 4.利益誘導等の議員と官僚との不透明な関係を是正し「内閣による一元的な政策運営」の条件を整備
- (1)仲介、斡旋を目的とする議員と官僚との接触を禁止する。
- (2)官僚が個々の議員と接触する場合は上司に報告することを義務づける。
- (3)以上二点について、内閣において閣議で申し合わせをおこない、与党側でも同趣旨の決議をおこなうべき。
- 5.首相の指導力強化にむけ、政治主導体制を「内閣主導から首相主導へ」へとバージョンアップ
- (1)閣議後に意見交換をおこなう閣僚懇を廃止し、閣議そのものを実質的な政策発議・政策討議・政策調整の場に改革。
- (2)大臣、副大臣、政務官、内閣官房・内閣府に置かれる政治任用職その他の特別職職員の定数を法律事項から政令事項に変更。首相の判断にもとづいて、必要な人材を広く弾力的に任用できる仕組みを構築。
- (3)審議官級以上の「高級官僚の人事管理権を首相権限」とし、首相を補佐する一般職職員の活用を容易にする。
- (4)内閣官房・内閣府を実質的に首相を補佐する機構に再編成。
- (5)政党助成金等を活用し政党にシンクタンクを創設し、首相を補佐するもう一つの人材供給源を構築。
※印は、法改正を待たずとも運用面の見直しで解決できる課題
■具体的な進め方■
- 1.小泉首相は「政策の構造改革」と「政治の構造改革」を戦略的に組み合わせる本物の「骨太方針」を策定。
- 2.超党派で「政治主導確立大綱」(仮称)を策定し推進基本法を制定。