提言活動その他の調査研究・提言

民間司法臨調・第1次緊急提言

2000年9月20日
公益財団法人 日本生産性本部

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経済界、労働界、言論界など各界で構成する民間司法臨調(会長=亀井正夫・社会経済生産性本部会長)は20日、都内ホテルで記者会見し、第1回目の緊急提言「責任ある司法制度改革の手順と道筋」を公表した。9月22日に森総理大臣、保岡興治法務大臣を訪ね、国民の立場から司法制度改革の推進を要請する。

民間司法臨調・第1次緊急提言「責任ある司法制度改革の手順と道筋」(要旨)
基本認識(各界および関係者にあらためて問いたいこと)

<1>
司法制度改革は、統治システム改革の到達点であり、要の位置を占める。その核心は官主導体制を脱し、この国の法のかたちを変えることにある。

<2>
司法制度改革は、世界を視野に入れつつ、利用者である国民や企業の立場から進められるべきである。人材の質量の飛躍的改革はその根幹をなす。

<3>
法曹三者はこの原点を踏まえて自己改革に取り組むべきであり、政治家はその責任において改革に道筋をつけるべきである。
提言(責任をもって改革を進めるために)

第1・改革を実効あらしめるために(司法制度改革推進基本法の制定)

<1>
政府は、司法制度改革審議会最終答申後、ただちに「基本法」を制定し、法律にもとづいて改革を推進する方針を打ち出すこと。

<2>
基本法には、【a】改革の「期限」と「手順」を明記した「実現プログラム」を盛りこむとともに、【b】改革の実行を担う「常設」の推進機関を「内閣府」に設けることを明記すること。また、【c】常設機関の設置にあたっては人選基準を明確にし、民間人の起用を明記すること。【d】常設機関を実効あらしめるために「独立の事務局」の設置を明記すること。

<3>
基本法にもとづいて遅滞なく改革を推進するためにも、平成13年度予算で必要な措置を行うこと。

第2・政治主導で改革を進めるために(内閣、国会、政党への注文)

<1>
政治家は、国民的視点で改革を推進する決意を示し、政党単位の取り組みのみならず、「党派を超えた改革推進体制」を構築すること。

<2>
国会は、「司法制度改革特別委員会」を設置し、法案の包括的な集中審議を実現するとともに、法案提出以前の段階においても闊達な討論をおこない、問題の所在の明確化と国民世論の喚起につとめること。

<3>
官邸機能強化を先取りするかたちで、総理大臣直属の政治任用職として「司法制度改革特別補佐官」を設けること。補佐官は、審議会に常時出席し内閣府の常設機関とともに推進体制を担うこと。

第3・当事者自身が改革の条件を整備するために(法曹界への注文)

<1>
最高裁は、【a】国民に開かれた司法行政を実現するためにも、事務総局のあり方を見なおし、司法行政に弁護士、民間人、大学関係者を起用すること。【b】裁判官人口の大幅増員に積極的に対応すること。【c】社会経験豊かな多様な裁判官の確保を積極的に検討すること。

<2>
法務省は、【a】法制審議会のテーマや人選を時代に即したかたちで見なおすこと。
【b】とくに民事関係において官民交流を促進し、弁護士、企業、大学関係者を立法政策に参加させる道を開くこと。【c】テーマごとに、立法調査のアウトソーシングを積極的に進めること。

<3>
弁護士会は、【a】弁護士業務に関する規制を緩和し、国民に良質なサービスを提供しうる基盤整備に対応すること。【b】弁護士人口の大幅増員に積極的に対応すること。【c】弁護士法72条の改正を含めた法律業務独占を見なおすこと。【d】弁護士過疎地域を解消すること。