第18回 高度成長の「ひずみ」是正を―JPC創立10周年

連載「JPC 70th クロニクル」⑱ 高度成長の「ひずみ」是正を

信頼するに足る生産性指数統計

日本生産性本部創立10周年記念大会で祝辞を述べる駐日米国大使・ライシャワー(1965年3月1日)。

「生産性運動が始まった当時には、わが国にはまだ信頼するに足る生産性指数統計がなかった。精密な計算方式による指数の算出を定期的に行なうことができるようになったのは(昭和)三十三年度からである。」(『生産性運動10年の歩み』)
日本生産性本部は1958年5月、『生産性統計』(季刊)を創刊した。生産性指数は、分子になる産出量指数と分母になる労働投入量指数を、通産省の生産動態統計という同一基礎資料から、業種ないし品目にまで下りて算出しているのが特徴だ。
同統計は後に『活用労働統計』(1966年創刊)となる。サブタイトルには「労使交渉の指標」。労使交渉における中立的・科学的な基礎情報となった。
同統計によると、就業者1人当りGDPは55年:名目20万4.6千円/実質115万1千円。これが10年後の65年には名目69万4.8千円/実質235万2.9千円。急上昇したことが一目で分かる。

「10周年宣言」を発表

65年3月1日。日本生産性本部は創立10周年を迎え、都内で記念大会を開いた。政界や産業界、労働界、学界などから約1500人が参加。記念大会では本部会長・足立正のあいさつに続いて、専務理事・郷司浩平が今後の運動方向を明らかにする「生産性運動10周年宣言」を発表した。
宣言では、前文で「わが国が数年間に生産と貿易の倍増を実現して先進産業国のグループに加えられるに至ったものの、高度成長の『ひずみ』が表面化しつつあり、その是正こそ、生産性運動が今後挑戦すべき最大の課題」と指摘。これからの運動の方向として、▽日本独自の経営管理の優れた分野の発展▽労組のさらなる近代化▽労使協議制の一層の活用▽中小企業における人材育成、経営近代化▽生産性運動におけるアジア諸国・APOとの協力推進――という五つの指針を示した。
その後、記念大会では来賓を代表して駐日米国大使・ライシャワーや労働大臣・石田博英、経団連会長・石坂泰三、同盟会長代理・滝田実らが祝辞を述べた。(文中・敬称略)

【参考文献】『生産性運動50年史』(社会経済生産性本部、2005年)

お問い合わせ先

公益財団法人日本生産性本部 広報戦略室(新聞グループ)

WEBからのお問い合わせ

電話またはFAXでのお問い合わせ

  • 営業時間 平日 9:30-17:30
    (時間外のFAX、メール等でのご連絡は翌営業日のお取り扱いとなります)