第19回 わが国初の経営教育の“大学院”―「経営アカデミー」開設
連載「JPC 70th クロニクル」⑲ わが国初の経営教育の“大学院”
人間能力の開発
日本生産性本部の1965年度『事業報告書』は、「内外環境の厳しさと不況の深刻化」が進む中でこそ、「人間能力の開発」の重要性が一層クローズアップされるとし、事業展開の方向として「質的な転換と改善」に言及した。
その具体的な現れが、本部創設10周年を記念して開設した「経営アカデミー」であり、『労使関係白書』のとりまとめだった。
企業の経営水準を画期的に向上
「経営アカデミー」は65年4月、わが国では初の経営教育の〝大学院〟として開設。体系的長期コースを備え、新時代の企業を担うにふさわしい経営者、管理者、専門家の資質向上と能力開発を進め、企業の経営水準を画期的に高めていくことが目的だ。
そのための教育目標として、▽常に最新の経営管理に関する理論を究明し、これを消化する能力を養成▽各人が担当する職能領域を深めていくのに必要な高度の専門的素養を育成▽企業内外の環境の変化に対応し得る理論的洞察力と実践的応用力を涵養▽管理者として発揮すべきリーダーシップに関する素質を啓発――の4点を掲げた。
同時に教課内容を一貫する体系的基礎として、▽成長する国民経済における企業経営の社会的位置付け▽企業経営を動かす人間と仕事の組織▽企業経営の科学化を目指す数量的管理――という3つのアプローチを採用。これは当時の先進諸国で経営教育の潮流となっている方法だった。
経営アカデミー会長は本部理事(東洋レーヨン会長)の田代茂樹。副会長には本部理事6人を委嘱し、学長には本部常務理事の中西寅雄(慶應義塾大学教授)が就任した。
初年度は9つのコースを開講。282人が受講し、総数200人の「経営アカデミー・マスター」が誕生した。
今年、開設から60周年を迎えた経営アカデミー。これまでに約1万6千人の修了者(経営アカデミー・マスター)を輩出し、その多くが企業のトップ、産業界のリーダーとして活躍している。(文中・敬称略)
【参考文献】『生産性運動50年史』(社会経済生産性本部、2005年)
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