第20回 友情と創造の社会を求めて―「生産性の船」出航

連載「JPC 70th クロニクル」⑳ 友情と創造の社会を求めて

新しい時代にふさわしい産業人育成

出航する「生産性の船」第1号船・さくら丸(横浜大桟橋、1971年5月7日)

1971年5月7日正午。日本生産性本部による「生産性の船」第1号船・さくら丸(1万2千トン)が横浜大桟橋から出航した。乗船していたのは講師やリーダー、参加者400人余り。一行は20日までの2週間、船上研修を重ねながら香港、台湾、沖縄の寄港地では各生産性本部を訪問。各地の青年との国際交流で友情を深め、相互啓発を図った。
「生産性の船」は生産性運動15周年記念事業の一環として、青少年勤労者や第一線監督者、若年経営者を対象とした洋上訓練として計画。規律ある団体生活の中で〝友情と創造の社会を求めて〟を主題にグループ別、階層別の研修を行った。「新しい時代にふさわしい産業人の育成」が目的だった。

世界の発展に貢献すべき

第1号船の事前合宿研修(2月28日~3月1日)は神奈川・大磯ロングビーチホテルで開催。船上研修のチーム編成や研修日程の説明、ユニフォームの寸法合わせ、渡航手続きなどが行われた。
出航前日には結団式。団長の本部常務理事/事務局長・溜島武雄は、わが国の生産性運動は自由主義経済圏のみならず共産圏でも注目されていることを指摘し、参加者に「生産性の船が今後の大きな飛躍の契機になることを希望する」と話した(『生産性の船・1号船報告書昭和46年度』)。
同報告書に溜島は、生産性の船は「予想外の成果を収め大成功であった」とし、次のように記す。
「もはや、日本の経済成長と日本だけの繁栄を追求する時代は去った。日本はアジア諸国の繁栄によって世界の発展に貢献すべき使命を持っているのである。アジアの一端を視察することによって、世界的視野に立って物を考えることができれば、今日の日本が要求する国際的感覚を持った産業人の育成に充分期待しうることになろう。」
「生産性の船」はその後、ルートや日程などを変えながら今日まで継続。2024年11月には第146号船を開催。シンガポールやタイなどで洋上研修が行われた。(文中・敬称略)

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