コープ商品パッケージでの資源循環
設楽良昌 日本生活協同組合連合会サステナビリティ戦略室担当部長(2025年2月25日号)

連載「続・サーキュラーエコノミーを創る」⑪ コープ商品パッケージでの資源循環

日本生活協同組合連合会(日本生協連)では、持続可能な社会を実現するため「生協の2030環境・サステナビリティ政策」を策定し、全国の生協における気候変動、資源循環、生物多様性、人権尊重など様々な取り組みを提起している。また、各地の生協で販売しているコープ商品の開発などを行っている。本稿では、コープ商品でのプラスチック環境負荷を減らすために、全国の生協、生協組合員とともに取り組んでいる内容を紹介する。

目標と方針

「コープ商品の2030年目標」では、プラスチック包材に関し2つの目標を掲げている。

  1. 1.容器包材のプラスチックを2016年対比25%削減する
  2. 2.再生プラスチックと植物由来プラスチックの使用率を合計で50%以上にする

「責任ある調達基本方針」では、次のような方針を掲げている。

  1. 1.「枯渇資源である石油資源使用量削減」「生産や焼却等で生じるCO2排出量の削減」「環境中へのプラスチックごみの流出防止」の観点から、容器包装のプラスチック使用量の削減、再生原料や植物由来原料の活用に取り組みます
  2. 2.コープ商品開発改善時の包材選定に際して、4つの視点【3R(リデュース・リユース・リサイクル)+植物由来資材利用】で検討します
  3. 3.エコマークの認定取得を積極的に進めます
2030年目標

リデュース

紙パックで販売しているキャノーラ油の写真

プラスチック包材を「小さくする」「薄くする」「トレイをなくす」「紙容器に変える」などでリデュースを進めている。飲料ペットボトルでは、ラベルを省いた商品を拡大している。段ボール単位で販売するラベルレス商品には生協の宅配は適している。また食用油の容器などをプラスチックから紙にする取り組みも進めている(紙容器は森林認証紙を使用)。

リユース

紙製大容量容器の写真
紙製大容量容器

洗剤などは、本体ボトルをリユースできるように詰替え製品を用意しているが、特徴的なものは紙製大容量詰替え製品(内容量900~1500g)である。一般には洗剤などの詰替え容器はプラスチックフィルムのパウチが用いられているが、コープ商品では紙製にすることでさらにプラスチック使用量を削減している。

リサイクル

「麦茶」などの飲料は再生プラスチック100%利用ボトルに切り替えているが、ラミネートパッケージへの使用も積極的に行っている。大手流通業で先行して行われていたが、生協での実施は効果が大きいと考え、「生協で回収したペットボトルをコープ商品の包材にリサイクルする取り組み」を進めている。各生協の情報誌などでも紹介され、生協組合員からは「リサイクルボックスに入れたあと、どのように処理され、何に生まれ変わるか考えた事がありませんでした。これからは、いつもより楽しくリサイクルができそうです」などの声が寄せられている。
この取り組みができる背景には各地の生協で行っているリサイクル活動がある。生協の店舗で回収されたペットボトルや宅配で回収された商品カタログなどは、配送の帰り便を用いて各生協のリサイクルセンターに集められる。リサイクルセンターでは一次選別や圧縮による減容化などが行われ、高品質な再生原料がうまれている。また多くの生協のリサイクルセンターでは障がいのある方が活躍している。

植物由来プラスチックの導入

ドレッシングのボトルや冷凍食品など様々なパッケージで、植物由来(バイオマス)プラスチックの導入も積極的に進めている。植物由来プラスチックについては、原料となる作物の栽培での環境へのマイナス影響がないように、持続可能性が担保されているものを用いている。
既存の設備、プロセスを用いて製造ができ、石油由来品と同一の品質が実現できる利点を持つマスバランス方式バイオマス割当プラスチックの利用も進めている。現在では「味付のり」をはじめ20数品目に増えている。

エコマーク

日本環境協会が運営するエコマークは、環境負荷が低い製品・サービスを認定するラベルだが、コープ商品のプラスチックの環境負荷軽減の取り組みに積極的に活用している。約5000品あるコープ商品のうち850品を超えるエコマーク認定品があり、その9割は環境負荷軽減を行った容器である。エコマークを共通して使用することで環境に良い商品だとわかりやすくなる。

くらしの願いを実現するために

環境問題の解決は全国の生協組合員のくらしの願いであり、コープ商品においても、引き続きプラスチックでの環境負荷軽減に向けた取り組みを進めていきたい。

著者略歴

設楽 良昌 日本生活協同組合連合会サステナビリティ戦略室担当部長

1990年日本生活協同組合連合会に入る。
2010年にコープ商品のパッケージを調達する部門を立ち上げ、10年間責任者を務める。
現在はコープ商品パッケージのサステナビリティ政策を担当。
健康のために毎日1万歩以上は歩くことにしている。

お問い合わせ先

日本生産性本部 経営アカデミー

WEBからのお問い合わせ

電話またはFAXでのお問い合わせ

  • 営業時間 平日 9:30-17:30
    (時間外のFAX、メールなどでのご連絡は翌営業日のお取り扱いとなります)