サーキュラー・ソサエティの実現に向けて 第6回生産性シンポジウム開催報告(2022年3月3日)

公益財団法人日本生産性本部は、2022年3月3日、JA共済ビルカンファレンスホールにて、第6回生産性シンポジウム「サーキュラー・ソサエティの実現に向けて~ビジネスも暮らしも変わる」を開催しました。
日本生産性本部は、“Productivity for SDGs”を掲げ、未来への責任を果たすべく、環境と調和し持続可能な社会の実現に向けて取り組んでいます(SDGsへの取り組みはこちら)。昨年7月より、資源生産性の観点からサーキュラーエコノミーの社会実装に向けた取り組みを開始し、サーキュラーエコノミーを学ぶ研究会や講座を実施しています。
このシンポジウムは、気候変動や天然資源の枯渇、環境汚染の深刻化など、地球環境への負荷が高まりつつあることを背景に、カーボンニュートラルやSDGsの達成には、循環経済すなわち「サーキュラーエコノミー」を軸にしたビジネスモデルへの転換と、それを社会全体で支える「サーキュラー・ソサエティ*」の実現が必要であるという認識のもと、開催しました。


*「サーキュラー・ソサエティ」とは、地域社会・経済を基礎に、製造業、資源再生業、サービス業、生活者、大学・研究機関などが一体となり、モノ・サービス、カネ、情報等を 再生・循環させていく社会の仕組みであり、当シンポジウムで議論したものです(サーキュラー・ソサエティ構想図はこちら)。


基調報告


小林喜光 日本生産性本部副会長/
三菱ケミカルホールディングス取締役

小林喜光氏(日本生産性本部副会長/三菱ケミカルホールディングス取締役)より、『循環炭素社会 サーキュラーエコノミーでビジネスが変わる』と題した基調報告が行われました。「KAITEKI経営」に、経済効率性・イノベーション・サステナビリティという3つの軸から取り組むことで企業価値を高める自社の事例を紹介し、同様に国家価値も3つの軸から高めるべきであると主張しました。

パネルディスカッション

続くパネルディスカッションでは、『日本版サーキュラーエコノミーをめざして』をテーマにパネリストが各組織の取り組みを紹介した上で、「サーキュラー・ソサエティ」についてそれぞれの立場から議論を交わしました。


大塚友美 トヨタ自動車Chief Sustainability Officer

大塚友美氏(トヨタ自動車Chief Sustainability Officer)は、「トヨタ環境チャレンジ2050」の一環として、トヨタ自動車の目指す循環型社会・システム構築に取り組んでいる事例を説明しました。さらに、自動車製造業からモビリティ・カンパニーへと変化していく中で、地域コミュニティの一部として様々なステークホルダーと協働するアプローチが重要になってきていると述べ、その具体的な取り組みとして”Woven City Project“を紹介しました。

佐藤博之
アミタホールディングス代表取締役社長兼COO

佐藤博之氏(アミタホールディングス代表取締役社長兼COO)は、地域の互助コミュニティを活用した資源を循環させる取り組み事例を紹介し、未来デザイン企業として、企業や住民、自治体等とパートナーシップを組みながら、地域や企業、そして地球環境が抱える課題を統合的に解決することを目指すとしました。また、サーキュラー・ソサエティ推進には、「分散型」「複合型」「エコシステム型」をキーワードにスケールメリットからスコープメリットを追求する社会への転換が必要だと強調しました。

関口昌幸
横浜市政策局共創推進課担当係長

関口昌幸氏(横浜市政策局共創推進課担当係長)は、横浜市での「リビングラボ」や「サーキュラーエコノミーplus」の活動を紹介しました。資源だけでなく「ひと」と「まち」の持続可能性や、エンパワーメントに着目することで、公民連携で誰一人取り残さない未来を目指して、サーキュラー・ソサエティの実現に向けて取り組む決意を示し、行政もプラットフォーマーになっていくべき、と語りました。


コメンテーターを務めた妹尾堅一郎氏(産学連携推進機構理事長)は、パネリストの発言を受けて、産官学民の連携やサービス産業の育成が必要と指摘。その上で、物事を変えていくには技術・制度・社会文化の3つが揃うことがポイントと解説しました。また、若い世代はすでに学校などでSDGsについて学んでいる「SDGs世代」であり、時代に合わせて人も社会も変わっていかなければならないという考えを示しました。 最後に、進行役である喜多川和典(日本生産性本部エコマネジメントセンター長)が、サーキュラー・ソサエティの実現には、様々な立場の人が参加・連携して環境に貢献するだけでなく、経済的・社会的な価値も生み出して次の世代に繋いでいくことが重要である、我々も皆さんと一緒に取り組んでいきたい、と締めくくりました。

妹尾堅一郎 産学連携推進機構理事長(左)と喜多川和典 日本生産性本部エコマネジメントセンター長(右)

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