「人材マネジメントのパラダイム転換」 法政大学大学院イノベーション・マネジメント研究科教授 山田久氏
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イノベーション・マネジメント研究科
山田久教授
パーパス経営とリスキリングにどう取り組むか
日本生産性本部は2024年8月23日、第98期「人事部長クラブ」の8月例会を都内で開催(オンライン併用)した。当日は「人材マネジメントのパラダイム転換~パーパス経営とリスキリングにどう取り組むか」をテーマに、法政大学大学院イノベーション・マネジメント研究科教授の山田久氏が講演した。
労働市場の動向や雇用システムの変化の方向性
山田氏は、労働市場の動向や雇用システムの変化の方向性について、「日本経済が直面する最大の構造問題は労働者不足だ。女性や65歳以上の労働力率も頭打ち傾向になっている」「人手不足はますます深刻化し、長年低迷してきた賃金にも30年ぶりの上昇圧力がかかっている」「働き手の転職志向が高まるなか、有能な人材を確保するには、就社型の旧来式人事には大きな綻びが生じている」「品質力・現場力という日本企業の競争力の源泉を考慮すれば、ジョブ型人事に転換すれば全て解決するという簡単なものでもない」などと説明したうえで、「現実の雇用の在り方は一様ではなく、多様な形態の分布と考えるべきだ。一方の極みに理念型としての就社型システム、他方の極みに就職型システムを想定すれば、欧米は、就職型システムの側に多く分布するが、比較的広いタイプで分布している。わが国はかつては就社型システム側に固まって分布していたが、今後は就職型システムサイドにシフトしつつ、少なくとも当面は、中心は就社型領域に残り、分布が多極化していくということではないか」と指摘した。
リスキリングと労働移動
リスキリングと労働移動については、「労働移動には、能力形成や賃金上昇につながる『良い雇用移動』もあれば、そうでない『悪い雇用移動』(能力浪費、賃金下落)もある。同様に雇用維持にも『良い雇用維持』(能力形成、賃金上昇)と『悪い雇用維持』(能力浪費、賃金下落)がある。本来、リスキリングはDXで変わる職務内容に必要な新しいスキル習得を従業員に促すという文脈から広がったことからすれば、それは雇用維持・雇用確保のために行うものともいえる。労使が協力して時代の要請に応える事業を不断に創造し、それに必要な人材開発を継続することが重要だ」と述べた
第98期「人事部長クラブ」は、「人を惹きつける会社とは」を統一テーマに来年2月まで開催。
対象は、人事・労務、総務、人材、経営企画等のエグゼクティブ。
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