生産性新聞「論争『生産性白書』」連載開始について

2020年3月に生産性運動は65周年の節目を迎えました。

グローバル化とデジタル化により、経済社会構造が大きく変質する中、2019年末より中国から世界中に広がったコロナ禍が加わり、生産性を巡る政策、経営、技術革新、働き方について、考え直さざるを得ない局面を迎えています。わが国においては、人口減少、少子高齢化が着実に進んでおり、将来にわたり成長を持続するためには、付加価値を継続的に生み出し、生産性を向上させていく以外に道はありません。われわれは、この歴史的転換点とも言うべき時代の要請を受け止め、日本の経済社会を次世代に引き継ぎ、未来への責任を果たしていかなければなりません。

日本生産性本部は、2018年3月に、設立当時に匹敵する覚悟で、生産性運動を再起動する決意を固め、「人口減少下の新たな生産性運動の基盤整備」を旗印に、3カ年(2018年度~2020年度)からなる第1次中期運動目標を掲げました。その柱の一つである「生産性のハブ・プラットフォームとしての組織体制の構築」の具体的な活動の一環として、今後の生産性改革のあり方について議論を重ねてきました。そして、第1次中期運動目標の最終年である2020年9月に、今後の政労使における生産性に関わる議論のベースになればという思いで初の「生産性白書」を取りまとめ、発表しました。

本白書は、デジタル経済、人材投資、価格形成など各論点の分析を行った上で、生産性改革のあり方、生産性運動三原則の今日的意義を確認し、生産性向上に向けた提言を行っています。この白書の内容を広く知っていただくためにも、このたび、特別連載「論争『生産性白書』」を始めることとしました。

産業界労使をはじめ、国民各界各層にとって、生産性についての理解がより一層深まるよう、これから1年間をかけて、この生産性新聞において議論を行い、皆さんとともに生産性向上について真摯に考え、ともに歩んでいきたいと考えています。

公益財団法人 日本生産性本部 理事長 前田 和敬

関連するコラム・寄稿