調査・研究メンタル・ヘルス

「東日本大震災とメンタルヘルスへの影響」に関する緊急アンケート調査結果

2011年8月1日
公益財団法人 日本生産性本部

公益財団法人 日本生産性本部のメンタル・ヘルス研究所はこの度、「東日本大震災とメンタルヘルスへの影響」に関する緊急アンケート調査結果を取りまとめた。本調査は、東日本大震災が企業に与えたメンタルヘルスへの影響について把握し、企業のメンタルヘルスに関する取り組みに資することを目的に実施した。調査結果のポイントは以下の通り。

●東日本大大震災の影響-従業員の心身への負担は「復旧作業による過労・ストレス」(53.1%)、「本人・家族の直接被災」(48.6%)、「放射性 物質拡散の不安」(45.3%)が上位3位

東日本大震災による企業の活動に対する負の「影響がある」と回答した 企業が、上場企業全体の7割(71.2%)を占めた。そのうち従業員の心や 体に影響を与えるものとして、これらが上位3位に挙げられた。続く4位 に「就業場所・時間の不規則化」(40.8%)、5位に「緊張状態の継続」 (33.0%)がみられる。

●震災後、「被災地域に関係事業所がある」企業の2割で不調者が増加(22.4%)

半数以上の企業で、受けた負担の割に不調者数の増加は見られないが、増加した企業が2割程度(22.4%) 、4社に1社程度(24.2%)が「わからない」と回答。震災後2-3カ月は、復旧に向けた努力などで新しい絆が形成されていることなどもあり、顕著な増加となっていないものと推察される。

●今後1年間についての不調者の増減見通しに、上場企業の3分の1が「わからない」

震災後の、原子力事故の発生とその影響などにより影響の長期化も予想されることから、企業は不調者の増減見通しに不透明感を持っているものと推察される。

●震災直後のメンタルヘルス対応は、「従業員自身によるセルフケアの呼びかけ」(27.6%)、「管理職のラインケア強化」(24.9%)が比較的高 く、続いて「産業保健スタッフによる従業員への面接実施」(22.2%)、「社外健康管理施設の利用呼びかけ」(21.8%)を実施した。

震災直後の対応は、「従業員自身によるセルフケアの呼びかけ」(27.6%)、「管理職のラインケア強化(24.9%)」の割合が比較的高く、「社内報・小冊子などによる啓発」(15.6%)も5位に挙げられた。

●今後のメンタルヘルス対応は、労使、専門スタッフなどが一体となった、社内体制を構築へ

今後の対応では、震災直後と逆転し「管理職のラインケア強化」(44.0%)を軸に、「従業員自身によるセルフケアの呼びかけ」(36.6%)、「産業保健スタッフによる従業員への面接実施」(27.2%)が続き、また「労働組合と協力した対応の促進」(20.2%)の割合も比較的高く、労使、専門スタッフなどが一体となった、社内体制を構築しつつ、「心の健康診断(ストレスチェックなど含む)の実施」(23.0%)の取り組みを検討するなど、従業員の心のケアに留意していく方向がうかがえる。

【調査概要】

  1. (1)調査名称   :「東日本大震災とメンタルヘルスへの影響」に関する緊急アンケート調査
  2. (2)調査対象/期間:上場企業2,119社 / 2011年5月~6月
  3. (3)有効回答数/率:257社 / 12.1%
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