調査・研究日本の生産性の動向
産業別生産性レポート(化学編,飲食・宿泊業編)
2010年7月21日
公益財団法人 日本生産性本部
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公益財団法人 日本生産性は産業別生産性レポートとして、「産業別にみた生産性の動向<化学編>」・「産業別にみた生産性の動向<飲食・宿泊業編>」を刊行した。本書は、日本の産業界の動向分析に活用いただくことを目的に、取得可能な統計データをもとに労働生産性の動向、生産性の国際比較、主要企業の生産性の動向などをとりまとめている。
<主なポイント>
- 1.付加価値労働生産性の動向
- 化学の名目労働生産性水準は、1,549万円(2008年)。分野別にみると、医薬品(同4,492万円)の労働生産性が最も高く、有機化学製品分野(同3,260万円)が続く。
- 飲食店の名目労働生産性水準は315万円(2008年度)で、全産業平均(同639万円)の概ね半分程度の水準。一方、宿泊業の名目労働生産性水準は402万円(同)と、全産業平均の6割強の水準となっている。
- 2.物的労働生産性の動向
- 化学の物的労働生産性は、前年比-2.9%(2009年)。2007年を境に低下が続いている。ただし、足もとでは既に生産活動の回復に伴って労働生産性も上昇に転じている。
- 2009年の飲食店の物的労働生産性上昇率は前年比-1.2%。また、宿泊業の物的労働生産性は、2009年に-10.3%と大きく落ち込んだ。宿泊業の労働生産性上昇率が前年比で二桁のマイナスとなったのは、生産性の計測が可能な1990年以降ではじめて。
- 3.生産性の国際比較
- 化学分野における日本の実質労働生産性上昇率(+2.3%/2000~2006年平均)は、イタリア(+0.5%/00~07年平均)を上回るものの、イギリス(+6.2%)やアメリカ(+5.9%)、ドイツ(+5.7%)に大きく水をあけられている。
- 飲食・宿泊業の日本の実質労働生産性上昇率は、2000~2006年平均で+1.1%。世界主要6カ国の中では、イギリス(+1.3%/00~07年平均)に次ぐ水準となっている。
- 4.主要企業の生産性
- 化学大手では、住友化学の労働生産性が897万円(2008年度)、家庭用品大手の花王が2,715万円、医薬品最大手の武田薬品工業が5,248万円と、業態による市場環境や事業構造の違いを反映して労働生産性が大きく異なっている。
- 飲食・宿泊業においても、化学と同様に市場環境や事業構造が労働生産性に大きく影響しており、牛丼事業を中核とする飲食大手のゼンショーの労働生産性が4,580万円(2008年度)であるのに対し、ファーストフード大手のモスフードサービスが2,117万円。宿泊業では帝国ホテルが1,822万円と、業種によって生産性に差が生じている。
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