調査・研究日本の生産性の動向
産業別生産性レポート(自動車産業編・小売業編)
2010年7月21日
公益財団法人 日本生産性本部
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財団法人 日本生産性本部は、産業別生産性レポートとして、「産業別にみた生産性の動向<自動車産業編>」及び「産業別にみた生産性の動向<小売業編>」を刊行した。本書では、取得可能な統計データをもとに、労働生産性の動向、生産性の国際比較、主要企業の生産性の動向などをとりまとめている。今後、主要産業についてシリーズとして刊行していく。
<主なポイント>
- 1.付加価値労働生産性の動向
- 自動車産業の名目労働生産性水準は1,869万円(2006年)。自動車産業でも、完成車を生産する自動車製造業(3,759万円)の労働生産性水準は、自動車部品製造業(1,227万円)に比べおよそ3倍近い。
- 小売業の名目労働生産性水準は、456万円(2007年度)。資本金10億円以上の大企業の労働生産性水準が751万円(2007年度)であったのに対し、資本金5千万円未満の中小企業では労働生産性が412万円(2007年度)にとどまり、格差が2倍近い状況が続いている。
- 2.物的労働生産性の動向
- 輸送機械分野における2008年の物的労働生産性は2000年に比べ25.5%上昇している。しかし、2008年第4四半期に前年同期比-15.9%のマイナスとなるなど、生産性の低下局面がしばらく続く可能性がある。
- 小売業の物的労働生産性は2000年以降停滞が続いており、2008年の生産性水準が2000年の水準を2.1%上回るにとどまっている。
- 3.生産性の国際比較
- 自動車製造分野における日本の実質労働生産性上昇率は、好調とされる2000~2005年平均でみても+3.3%であり、主要自動車生産国の中で韓国(+5.4%)やドイツ(+4.8%)を下回る。全要素生産性上昇率でも、日本は2000~2005年平均で+1.3%にとどまる。
- 小売分野における日本の実質労働生産性上昇率は、2000~2005年平均で+0.5%。主要国の中ではフランス(+0.3%)に次ぐ低さとなっている。
- 4.主要企業の生産性
- 自動車大手の労働生産性はトヨタ自動車が3,246万円(2007年度)に対し、日産自動車(1,952万円)や本田技研工業(2,001万円)と大きな差が生じている。
- 小売業大手では、総合スーパーのイオンの労働生産性が3,306万円(2007年度)だったのに対し、コンビニエンスストアのローソンが5,396万円、家電量販店のヤマダ電機が2,491万円と、大手企業であっても業態によって労働生産性が大きく異なる。
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