「経営幹部の“武器”としての経済学」
安田 洋祐 政策研究大学院大学教授 特別ランチセッション要旨

第69回軽井沢トップ・マネジメント・セミナー 特別ランチセッション要旨

プライシングを経営戦略に

ランチセッションで講演する安田氏

「企業競争力を左右するのは、何を作り、いくらで売るかという意思決定だ」。そう語る政策研究大学院大学教授の安田洋祐氏は、経済学の先端学知を、ビジネスや政策に実装するために設立したエコノミクスデザインの共同創業者でもある。生産性や収益を高める方法について説明した。
安田氏は、売れる商品が明らかでない現在は、AIやDX、データを活用した意思決定の質が重要になると指摘した。 喫茶店を例に価格戦略を解説。コーヒーとサンドイッチの価格やセット販売を工夫することで、営業努力やコストを変えず、利益を最大11%高められるケースを示し、「売り方を変えるだけでも利益は伸ばせる」と説いた。

また、消費者が実際にいくらまで支払う意思があるかを探るメカニズムを紹介。文豪ゲーテが出版社との価格交渉で用いたとされる方法と同様、相手から金額を提示させる仕組みで「本音の価格」を引き出す。現在は新商品の価格調査などにも応用されているという。 このほか、価格を1%上げた際に需要がどの程度変化するかを測る価格弾力性や、競合商品への影響をデータで分析する手法を説明。環境への配慮など、目に見えない社会的価値を可視化し、金額で示す方法にも触れた。
安田氏は、「勘や経験だけに頼らず、データと経済学に基づく意思決定を進めることが、新たな競争力につながる」と訴えた。

(生産性新聞2026年8月5日号掲載)


登壇者略歴

安田 洋祐 政策研究大学院大学教授

2002年東京大学卒業。最優秀卒業論文に与えられる大内兵衛賞を受賞し経済学部卒業生総代となる。2007年に米国プリンストン大学でPh.D.(経済学)取得。大阪大学准教授、教授などを経て、2025年10月より現職。専門は戦略的な駆け引きを分析するゲーム理論。政府の委員やテレビのコメンテーターとしても活動。読売テレビ「ミヤネ屋」、テレビ東京「ワールドビジネスサテライト」などに出演。2020年に株式会社エコノミクスデザインを共同創業。著書・論文多数。

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