第21回 幾多の人びとの努力―『労使関係白書』『賃金白書』刊行

連載「JPC 70th クロニクル」㉑ 幾多の人びとの努力

「ドライヤー報告」を機に

初の『労使関係白書―転換期にたつ1966年の労使関係』(1966年3月=左)と初の『賃金白書―昭和42年春季賃金交渉分析』(1968年2月=右)。

日本生産性本部は1960年代後半、内外経済の変化に対応するため経営の意識向上に努めてきたが、同時に「労使関係近代化」活動においても同じ問題意識に立ち、労使の自覚を促した。
その具体化が『労使関係白書』(1966年3月)と『賃金白書』(1968年2月)の刊行だった。
『労使関係白書』の「発刊の言葉」で本部会長・足立正は、本部がわが国労使関係の近代化・正常化に一定の貢献をしてきたとしつつ、「たまたま昭和40年にはILOドライヤー委員会報告書が発表され、他方国内的には不況の深刻化に伴い賃金、企業合理化の諸問題をめぐつて労使関係が、多難の局面に直面した。この事情にかんがみ、これを機として」第1回白書を刊行することに決定したと記す。

問題は将来のための構図

「ドライヤー報告」とは、国際労働機関(ILO)の実情調査調停委員会の調査団(委員長・ドライヤーなど3人)が、日本の官公労組の申立て事件について、ILO理事会に1965年11月に提出した報告書。ILOが日本の官公労働者問題について初めて示した総括的文書だった。『白書』では労使関係の歴史的変遷をまず位置づけ、ILOドライヤー報告、65年度の賃金交渉、労働経済の諸問題を分析。生産性運動の立場から、これからの労使関係の方向を示し、指針とした。
執筆の中心を担ったのは本部労使協議制常任委員会委員長・中山伊知郎。中山は「提言・20年後の労使関係」と題した論稿で、労使対立・イデオロギー的対立の緩和を予想し、最後に次のように記す。
「しかし、ここで問題となるのはむしろ将来のための構図である。その中には労使それぞれの努力、並びに併わせて第3者としてこれらの問題に対処する幾多の人びとの努力がおり込まれていることも忘れてはならない。」(文中・敬称略)

【参考文献】『生産性運動50年史』(社会経済生産性本部、2005年)

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