第22回 「高成長」から「高福祉」へ―JPC創立15周年

連載「JPC 70th クロニクル」㉒ 「高成長」から「高福祉」へ

生産性は人間のもの

日本生産性本部は創立10周年宣言で、高度成長の「ひずみ」の是正こそ、生産性運動が今後挑戦すべき最大課題と指摘した。
64年4月に日本はOECD(経済協力開発機構)に加盟。9月のIMF(国際通貨基金)総会で、首相・池田勇人は「国民の生活水準は西欧諸国に近づき、先進諸国の仲間入りするに至った」と述べ、10月開催の東京オリンピックは日本の経済力と繁栄ぶりを世界に発信することになった。
65年は一転。倒産企業が相次ぎ、不況は従来とは異なる構造的要因に起因するものととらえられた(構造不況)。だが、悲観論を尻目に景気が力強く回復。66年から70年にかけての経済成長率は年平均12%に達した。

そして70年3月。日本生産性本部は創立15周年宣言を発表した。前文では、「社会的ひずみ」(弊害)を克服するためには「何よりも人間尊重の精神に基づき、参加の原則を、すべての組織に適用しなければならない」と指摘。「究極において、生産性は人間のものである。生産性運動も、人間における正義の実現と、自由と平等の伸長、連帯の強化へと発展させなければならない。この自覚に立てば、いまや生産性運動は、人間の進歩に対する不動の信念と、激動に挑む断固たる決意を示すべきときである」と続けた。

公害問題で宣言

宣言では、新たな運動として、①経営革新と人間尊重②組織と情報への参加③最適雇用の促進④高福祉の実現⑤国際連帯の増進――という5つの目標を掲げた。④は「生産性向上の成果は、豊かな社会の実現と、富の公正、福祉の向上を期して、社会的に分配される」と説明。これまでの「高成長の道」から、「人間性」重視に立ち、「高福祉時代」を目指して大きく舵を切っていった。

70年版『経済白書』の副題は「日本経済の新しい次元」。総理府は同年12月、第11回国勢調査(10月1日現在)の結果を発表。日本の人口は1億人を突破した。
70年ごろから社会的にクローズアップされた公害問題について、日本生産性本部は社会環境委員会を設置、71年3月に「産業公害と生産性運動に関する宣言」を発表した。宣言は、「高成長から高福祉へ」「新しい産業社会の建設」を目指す時代相を明らかに反映したものであった。
71年7月、環境庁発足。72年5月、初の『環境白書』閣議承認。新たな組織体の必要性が急速に高まっていった。(文中・敬称略)

【参考文献】『生産性運動50年史』(社会経済生産性本部、2005年)

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