第30回 経済成長と「日本的労使関係」―「白書」30年30回発行
連載「JPC 70th クロニクル」㉚ 経済成長と「日本的労使関係」
厳しい欧米の目
1980年代、わが国は経済大国として国際的な地位を確立。一方で、生じた影の部分で日本的労使関係に大きな問題提起が行われ、その後の展開に多大な影響を及ぼした。
全国労働組合生産性会議(全労生)の年間統一テーマは80年度「資源エネルギー制約下の生産性運動の展開」、81年度「産業構造転換と労働の人間化」、82年度「人間と技術の共存」だった。
問題意識が呼応するように『労使関係白書』の副題は、81年版「日本的労使関係の評価と課題」、82年版「ME革命と職場の労使関係」、83年版「ホワイトカラー化と現代の労使関係」。問題意識の底流にあるのは石油危機やME革命であり、それを人的に支えて成功させた基軸に「日本的労使関係」があった。
日本的労使関係は海外での評価が高まったものの、反面、その特殊さに欧米の目は厳しく、自らの基準に照らして競争上の「不公正」と断じた。国内的な視点からも「ME革命における技術と人間の調和・共存」という新しい課題を投げかけられていた。本部会長・郷司浩平は、82年版『労使関係白書』の冒頭で次のように語る。
「本白書は、全編を通じて、参加と国際化の視点のもと、マイクロ・エレクトロニクス(ME)に代表される新技術と労使関係にかかわる諸問題について、その将来の指針を展望しようとした。」
最重要問題の1つ
労使協議制常任委員会が『労使関係白書』を創刊したのは66年。以来、95年版まで30年にわたって30回刊行された。1つのピリオドを迎えたことを機に、社会経済生産性本部・生産性労働情報センターは96年3月、『労使関係白書30年史―白書にみるわが国労使関係の軌跡―』を発行した。
その冒頭で、89年版から専門委員長(93~95年版は委員長兼務)を務めた横浜国立大学教授・神代和欣は「労使関係白書を顧みて」と題した小論を次のように結んだ。
「これから21世紀にかけて、未組織分野における個別労働者の就業規則上の法的権利をいかにして守るかは、労使関係上の最重要問題の一つである。」(文中・敬称略)
【参考文献】『生産性運動50年史』(社会経済生産性本部、2005年)
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