第41回 成長産業への転換必要―「創業・ベンチャー国民フォーラム」設立

連載「JPC 70th クロニクル」㊶ 成長産業への転換必要

独創性に富む起業家育成

創業・ベンチャー国民フォーラム「コンファレンス2001㏌桐生」には関係者300人が参加した(群馬県桐生市、2001年10月3日)。

1986年以降、日本では開業企業数より廃業企業数が上回るという逆転現象が起こった。とりわけ90年代後半以降は老舗企業を含む倒産が相次いだ。一方、米国では90年代に新しいベンチャー企業が次々に誕生。こうした日米間の「起業力」に大きな格差が生じていることが日本の経済社会の活力低下の要因になっていた。
活力ある経済社会になるためには、チャレンジ精神にあふれた新たな事業・企業を生み出す数多くの起業家を輩出することが不可欠。同時に、個性を尊重し、リスクへの挑戦と成功を評価する社会インフラを築いていけるかどうかが問われる――こうした問題意識を踏まえ、独創性に富む起業家を育成し、起業家精神が発揮される風土づくりへの国民各層の結集を呼びかけて2000年3月、「創業・ベンチャー国民フォーラム」(社会経済生産性本部、通商産業省・中小企業庁・中小企業総合事業団との共催)が設立された。

4委員会を設置

国民フォーラムの会長には元筑波大学学長(ノーベル物理学賞受賞者)の江崎玲於奈が就任。フォーラム内に「企画運営委員会」「顕彰委員会」「調査・提言委員会」「地方活性化委員会」の4委員会を設置した。
企画運営委員会は、広報活動や中央・地方シンポジウムの開催、インターンシップ事業の企画など、顕彰委員会は、模範となる起業家・支援組織の顕彰基準案や応募要項の策定など、調査・提言委員会は、創業の活性化やベンチャー企業の発展に資する環境整備の促進を目的に、提言をとりまとめ政策への反映をめざす役割を、地方活性化委員会は、地域在住のメンバーによる委員会で、地方シンポジウムの開催や地方大学への起業家養成講座の拡充要請、ベンチャー企業見学会の企画・実施などを担った。

創造性の育成を重視した教育改革

国民的論議を喚起するシンポジウムは全国各地で開催。2001年10月3日には群馬県で開催され、企業経営者をはじめ産官学の関係者300人が集まり、ベンチャー企業活性化に向けた活発な議論が展開された。
2002年10月には、全国4都市でのキャラバンシンポジウムのスタートとして東京国際フォーラムで開催(約1200人が参加)。国民フォーラム会長の江崎は「日本の国際競争力を 回復させるためには、衰退産業から成長産業への転換が必要」との認識を示し、そのために▽創造性の育成を重視した教育改革▽風土・意識改革▽制度インフラの改革――の3点を訴えた。

ビジネス専門大学院の量的拡大

調査・提言委員会は2000年9月、「二十一世紀を担う起業家輩出教育のあり方について」と題する提言を行った。
さらに2001年3月には、「『起業家社会』の実現に向けた提言」を発表。大きく①起業家人材の輩出、②経営資源へのアクセスの改善と企業制度の整備、③企業法制の改善――という3点にわたる具体的な政策の実行を促した。起業家人材の輩出では、ビジネス専門大学院の量的拡大を訴えた。

「日本人材マネジメント協会」設立

一方、90年代後半以降、企業の人材を取り巻く環境も大きく変化。人事担当部門の役割は従来の管理的及び従業員サービス的な人事機能から、経営の中心的機能として企業戦略に連動した人材マネジメントへの変革が求められるようになってきた。
生産性本部では、こうした課題を踏まえ、2000年4月、わが国産業界における人材マネジメントの質的向上を支援・推進する組織として「日本人材マネジメント協会」を設立。同協会は、人材マネジメント(HRM)における①プロフェッショナリズムの確立、②グローバル化対応とグローバル・ネットワークの構築、③内外の高質な情報交換――という3つの課題と活動を通じて、HRMに関わる人々の価値を維持・向上し、ひいてはわが国産業界におけるHRMの質的向上に貢献することをビジョンに掲げた。(文中・敬称略)

【参考文献】『生産性運動50年史』(社会経済生産性本部、2005年)

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