「少子高齢化で人的資本へ投資」 TOPPANホールディングス執行役員人事労務本部長 奥村英雄氏

日本生産性本部は2025年9月26日、第100期「人事部長クラブ」の9月例会を都内で開催(オンライン併用)した。当日は「TOPPANグループ65歳定年延長と今後の課題~主体的に挑戦し、自律的なキャリア選択に向け」をテーマに、TOPPANホールディングス執行役員人事労務本部長の奥村英雄氏が講演した


少子高齢化で人的資本へ投資

TOPPANホールディングス
執行役員人事労務本部長奥村英雄氏

同社では、2022年に定年を60歳から65歳に延長した。職能等級制度や職能資格制度については60歳以降も継続適用した。管理職の役職定年制(課長層53歳、部長層55歳、本部長層57歳)は維持した。労務費は増加するが、少子高齢化の中で、会社の業績を牽引する人的資本への必要な投資と判断したという。
その後、70歳までの雇用に向けて、管理職処遇制度の改定に取り組んだ。職能資格制度を改め、役割等級制度を導入し、処遇基準を「資格」から「役割」とすることや、管理職の役割を整理し、専門性の発揮を要する管理職を「エキスパート」とすること、「プロフェッショナル」を廃止し「専任職(非管理職)」を導入すること、管理職評価制度を見直し、「業績評価」と、「コンピテンシー評価」の2軸で評価することにした。

役職定年後の専任職の戦力化

管理職処遇制度の改定における最大の課題だった役職定年後の専任職の戦力化については、専任職のモチベーションが会社の雰囲気を左右しかねなく、モチベーションを維持し新たなことに積極的にチャレンジしてもらうことが必須と考え、専任職への異動時に特別の教育プログラムである「リパーパスプログラム」の受講を義務付けた。メタスキル(学ぶことを学ぶ)開発を実現し、自ら知識スキルを高め、価値創造する人材へと成長することを目的とした体験学習型プログラムとなっている。週1時間、月5時間、年間60時間をリスキリング時間として義務付け(通常勤務時間内)、約8000本のコンテンツの中から自由に選んで学習する動画学習サービスも導入した。


健全な労使関係の賜物

また、社内(グループ内)の重点・成長事業をオープンにし、従業員が主体的に様々な職務や組織に挑戦できる仕組みとして常設型社内公募制度の「ジョブチャレンジ制度」を導入した。一般職コースと専任職コースがあり、専任職コースでは専任職のみエントリー可能となっている。公募部門の面接には人事部門は介入せず、異動元職場には拒否権はない。
同社では2008年に、従業員が「働きがい」を感じながら仕事に取り組むことができる環境の整備等を目的に、労使の協議機関として「労使働きがい推進委員会」を設置した。議題は、勤務制度や評価及び処遇制度、福利厚生など広範にわたり、これまで累計53回実施している。奥村氏は、「これまで様々な制度改定などを行ってきているが、これも健全な労使関係の賜物であり、それがないとこのような改定はなしえなかった」と強調した。



第100期「人事部長クラブ」は、「次世代を切り拓く人事の挑戦」を統一テーマに2026年1月まで開催。
対象は、人事・労務、総務、人材、経営企画等のエグゼクティブ。



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