人材開発から組織開発へ おのみず 勅使川原社長

日本生産性本部は2025年8月27日、第100期「人事部長クラブ」の8月例会を都内で開催(オンライン併用)した。当日は「人材開発から組織開発へ~脱・能力主義的な組織のつくり方」をテーマに、『働くということ――「能力主義」を超えて』(集英社新書)の著者である、おのみず代表取締役社長の勅使川原真衣氏が講演した。


おのみず代表取締役社長
勅使川原真衣氏

「個体能力主義」を脱した「関係論的能力主義」を提唱

勅使川原氏は、能力主義とは、個々人の能力の差を社会配分の論理とする原理だが、その前提には落とし穴があると指摘する。能力は個人に内在していて測定可能であり、能力は個人の頑張りや努力次第で高められることとするものの、実際には、能力は個人の努力次第というよりは出自の影響がぬぐえず、求められる能力は多元化、あいまい化の一途をたどっているためだ。ゆえに「個体能力主義」を脱した「関係論的能力主義」を提唱した。

事業にあわせて人の持ち味を組み合わせて生かす

「関係論的能力主義」においては、優秀な人がよい社会をつくるのではなく、みんなが未熟で凹凸がありながらもなんとかやっているという人間観・仕事観のもと、試行錯誤しながら、不都合があれば訂正し、弱さを受け止め合って前を向くことを前提とする。リーダーのあり方も、逡巡や躊躇のプロセスを関係者とともに理解し、「問い」を通じて周囲をサポートすることに変わるという。
また、企業においては、事業に合わせて人の持ち味を組み合わせて生かすことが求められ、共創ではなく競争になりやすい仕組み、例えば、新卒一括採用や職務要件定義のあいまいなメンバーシップ型人的管理は見直されるべきではないかと述べた。

第100期「人事部長クラブ」は、「次代を切り拓く人事の挑戦」を統一テーマに1月まで開催する。

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