「アルゴリズム方式で全社的に調整」 東京大学大学院研究科講師、同大学マーケットデザインセンター(UTMD)プロジェクトマネージャー野田俊也氏

日本生産性本部は2026612日、第101期「人事部長クラブ」の6月例会を都内で開催(オンライン併用)した。当日は「マーケットデザインで設計する人材マネジメントの未来~マッチング理論による適材適所の人材配置」をテーマに、東京大学大学院研究科講師で同大学マーケットデザインセンター(UTMD)プロジェクトマネージャーの野田俊也氏が講演した。


「マーケットデザインで設計する人材マネジメントの未来~ マッチング理論による適材適所の人材配置」

野田氏は冒頭、「マーケットデザイン」は望ましい配分から最適な制度を逆算し、新たな制度の創出や実社会の課題を解決するものであり、研修医の病院配属や保育園の入園調整、学校選択・入試などで実用化され成果を挙げていると述べたうえで、マーケットデザインを使った適材適所の人事配置について説明した。

主体的な人事配置

東京大学大学院研究科講師、
同大学マーケットデザインセンター(UTMD)
プロジェクトマネージャー野田俊也氏

現状では、ほとんどの企業で人事部が社員に関する情報(希望・能力・資格・経験・家庭の状況など)を集約し、人事配置を決定している。この人事部集権方式は、「納得感の薄さ」(自分が出した希望がどう配属に反映されるか不明瞭)、「工数」(社員の数が多い場合、収集にも配置の決定にも膨大な工数が必要)、「情報の取得」(社員は自らの希望を正しく申告してくれない)といった弱点があると指摘。新しい人事配置の考え方として、人事部にすべての情報を処理させるのではなく、個々の社員に「自分はどの部署で何をやりたいか」を考えてもらい、社員・部署が主体的に考えた計画を、アルゴリズムを使って全社的に調整する「アルゴリズム方式」を提唱した。

納得度と意欲向上

「アルゴリズム方式」では、参加者全員の希望を入力すると、あらかじめ決められた手続きに沿って、マッチング(=誰をどの部署に配属するか)を決定することで、人事部集権方式の主要な弱点(人事配置にかかる工数が圧倒的に小さい、配置の決め方に透明性が出るため、納得感が出る、希望がどう配置に反映されるか明確になるため、従業員が偽りの希望情報を入力するインセンティブも消える)を解消できるという。 野田氏は、シスメックス社とUTMDが共同開発した新卒配属への導入事例についても説明し、同社の新入社員の配属に対する満足度が上がったことや、入社後8カ月時点のアンケート調査で、「別の部署に異動したい」と答えた割合が例年より低下したと説明。また、部署の約75%が「配属希望人材を選ぶ際に、育成計画や受入体制などを検討した」こと、新入社員と部門の希望を合わせて決定するため、納得度と意欲が高まったことなどを紹介した。


第102期「人事部長クラブ」は、不確実な時代を生き抜く組織―経営の未来を人事から考える―を統一テーマに2027年1月まで開催。
対象は、人事・労務、総務、人材、経営企画等のエグゼクティブ。


◇記事の問い合わせは日本生産性本部コンサルティング部、電話03-3511-4060まで

お問い合わせ先

公益財団法人日本生産性本部 コンサルティング部

WEBからのお問い合わせ

電話またはFAXでのお問い合わせ

  • 営業時間 平日 9:30-17:30
    (時間外のFAX、メール等でのご連絡は翌営業日のお取り扱いとなります)