「スキル基点の改革、その先へ」 ヤマハ 人事部人事戦略企画グループ 井上理恵氏
日本生産性本部は2026年7月22日、人事部長クラブ7月例会を都内で開催した。ヤマハ人事部人事戦略企画グループの井上理恵氏が「スキルを基点とした人材マネジメントの変革」と題して講演し、約5年に及ぶ人材マネジメント改革の歩みと課題を紹介した。
ヤマハ約5年に及ぶ人材マネジメント改革
ヤマハでは、既存事業の収益回復に加え、新規・隣接事業への展開を中長期戦略に掲げる中、経営戦略と連動した人材ポートフォリオの構築が課題となった。人的資本への投資効果を把握するためには、人材を共通の指標で可視化する必要があると考え、「スキル」を軸とした仕組みづくりを進めた。
部門横断の「スキル部会」を設置し、約1年かけてジョブとスキルを体系化した。従業員は現在の職務と目指す職務を比較し、スキルギャップを確認できる。スキルレベルは5段階で設定し、キャリア形成の指針として活用している。また、組織改編の影響を受けにくいよう、専門性を軸に定義した点も特徴だ。
制度整備と並行してキャリア面談も見直し、従業員主体の対話へ転換した。また、人材情報を部門横断で活用できるBIツールも整備した。
未来の事業戦略を見据え、現場との対話を重ねることが改革の鍵
一方、制度運用を通じて課題も明らかになった。井上氏は「スキル定義はゴールではなくスタート地点」と強調。スキル申告や評価基準のばらつき、スキル情報の更新や学習への動機付け不足に加え、最大の課題として「未来の事業に必要な人材は過去の延長線上にはない」ことを挙げた。新規事業に必要な人材像を既存の枠組みだけで描くことは難しいという。 対応策として、AIを活用し、社内外のスキルデータから将来必要なスキルを導き出す考え方を紹介した。ただし、AIは人事判断を代替するものではなく、意思決定を支援する存在と位置付ける。 講演の最後に井上氏は、「可視化した後に何に使うのか、なぜ使うのかを問い続けることが重要だ」と総括。未来の事業戦略を見据え、現場との対話を重ねることが改革の鍵になるとの考えを示した
「人事部長クラブ」は、 人事・労務、総務、人材開発、経営企画など、人を通して経営・組織を考える人事部門のリーダーに、実践的な研究とネットワークの醸成の場を提供する月例研究会。
対象は、人事・労務、総務、人材、経営企画等のエグゼクティブ。
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