変革課題で成果を出すリーダーのマネジメント・スキル①(2020年6月15日号)

■変革課題の遂行に必要なマネジメント・スキル

これから全4回にわたり、職場の変革課題の遂行と達成を担うリーダーとなる管理者・監督者に必要なマネジメント・スキルについて解説します。


変革課題発生の背景

近年の大きな環境変化に伴い、これまで通りの業務オペレーションでは企業目的が果たせない時代になってきました。
従来のままでは企業の成長が止まったり業績が下降したりする時代です。
このような背景のもと、多くの企業で当たり前のように変革が求められ、その変革を実現させるための業務課題(以下変革課題とします)が発生しています。
そのため、組織内では日常の経営に加え、これまでの経営やオペレーションを変えていくための変革課題の推進の指示が幹部から出され、現場の管理者・監督者などのリーダーたちがその遂行にあたっています。

しかしながら、これらリーダーたちの仕事の進め方の拙さ(すなわちマネジメントの拙さ)が要因となり、変革課題が進捗しない、成果につながらない、といった事態が起きています。

このマネジメントの拙さの原因は、リーダーが、変革課題に必要なマネジメントと日常業務遂行のマネジメントの違いをハッキリと認識していないことにあります。
つまり、変革課題の達成に必要な「マネジメント・プロセス」の認識がすっぽりと欠落しているのです。


専門知識だけではリーダーは務まらない

それでは「マネジメント・プロセス」とは何なのでしょうか。

まずご理解いただきたいのは、どのような仕事にも、「コンテンツ」と「マネジメント・プロセス」の両側面があるという点です。
前者の「コンテンツ」はその仕事の内容そのもの(専門領域)のことであり、後者の「マネジメント・プロセス」とは成果達成に向けた遂行の運営管理のことです。

拙いマネジメントを行うリーダーは、「コンテンツ」である専門領域には長けているがうまく進めるための「マネジメント・プロセス」の手順が踏めていないのです。
具体的には、達成すべき目標を明確にし、作業と資源を確保し、達成可能性が高い計画を立て、人をうまく巻き込み働き掛けるといったことですが、これらを、意図的に、手順を踏んで行うことができていないため、重要課題が暗礁に乗り上げるのです。

換言すると、「マネジメント・プロセス」というものが存在することすら知らないため、これまでの経験だけを頼りにするKKDマネジメント(勘・経験・度胸)を行い、その結果、変革課題が頓挫するのです。

お分かりの通り、変革課題の遂行を任されたリーダーは、「マネジメント・プロセス」を獲得していることが最低条件なのです。


変革課題はプロジェクト型である

さて変革課題の推進にあたって留意すべき点は、これらの多くが、日常業務と違い、プロジェクト型の仕事であるということです。
そしてプロジェクト型の仕事の遂行には、日常のルーティン業務とは全く別のマネジメント・スキルが必要とされるのです。

プロジェクト型の仕事の特徴は、①有期的である、②明確な最終成果が求められている、③関連する複数作業から構成される、④独自の特徴がある、の四点に集約されます。
これらを満たしていれば、たとえ、社内でプロジェクトと呼ばれていなくとも、規模が小さくとも、関わる人員が少なくとも、いずれもプロジェクト型の仕事なのです。

そして、このようなプロジェクト型の仕事をうまく推進するためには特有の「マネジメント・プロセス」を習得することが不可欠なのです。
裏を返すと、必要な「マネジメント・プロセス」を有していないことは変革課題の失敗を確約していることともいえます。
このように、変革課題を担うリーダーにとっては、「マネジメント・プロセス」、すなわち変革課題推進のためのマネジメント・スキルを習得することが急務なのです。


変革課題リーダーの基本的な役割

話を進める前に、変革課題を担うリーダーの役割を考えてみましょう。

それは、変革課題を確実に遂行し成果をあげること・価値を生み出すことです。
つまり、専門的なスキルや力はメンバーに頼りながらも、それらを目指している成果・価値に結びつけることです。

すなわちリーダーに求められるマネジメント・スキルとは、「マネジメント・プロセス」を合理的かつ効果的に活用しながら、①目指すゴールを明確にし、②メンバーを参画させ、③問題解決と意思決定を促しながら資源配分と進捗管理をし、④期待された成果を生み出す力です。
常に成果・価値を見据えながら、すべての活動を成果・価値に収斂させ、成果を生み出す強さがリーダーに求められているのです。

次回からは「マネジメント・プロセス」の詳細についてご説明します。



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コンサルタント紹介

主任経営コンサルタント

筒井 健太

・総合電機メーカーにて部門横断プロジェクトのチーム・マネジメントに14年間従事、管理職まで経験。
・その後、外資系コンサルティング会社にて、パフォーマンス向上のコンサルティングと人材育成支援を行なう。
・日本生産性本部「経営コンサルタント養成講座」を修了後、本部経営コンサルタントとしてパフォーマンス・コンサルティングを中心に活動中。
・国際基督教大学教養学部卒業、ニューヨーク州立大学バッファロー校経営学修士課程修了。
(1970年生)

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