「人的資本経営を支えるアルムナイ」 ハッカズーク執行役員グループCFO(アルムナイカンパニーCEO) 杉村和哉氏

ハッカズーク執行役員グループCFO
(アルムナイカンパニーCEO) 杉村和哉氏

日本生産性本部は2025年3月19日、第99期「人事部長クラブ」の3月例会を都内で開催(オンライン併用)した。当日は、「人的資本経営を支えるアルムナイ~現代における企業と個人の新しい関係性」をテーマに、杉村和哉・ハッカズーク執行役員グループCFO(アルムナイカンパニーCEO)が講演した。


近年「アルムナイ」が注目を集めている

杉村氏は、採用需要(特に中途需要)と労働力人口とのギャップが広まり、求人倍率が上昇傾向にあることや、労働市場全体の転職回数をみると労働市場の中では転職経験者が3分の2を超えるといった労働市場の変化や、キャリアオーナーシップを発揮する人の増加といった個人の意識の変化などを背景に、近年、アルムナイ(もともとは卒業生やDB・OGのことだが、ビジネス面では企業の退職者を意味する)が注目を集めていると説明した。  そのうえで、アルムナイにとって「関係を継続したい会社」であることは、入社候補者にとっては「入社したい会社」であり、社員にとっては「残りたい会社」であることにつながり、アルムナイのつながりによって事業創出や人材不足解消(採用ブランディング、再入社、業務委託)、エンゲージメント改善(組織改革)などの価値を創出できると指摘した。



「オフボーディング」が重要

そうしたアルムナイの価値創出を実現するためには、「オフボーディング」(従業員が退職の意思表明をしてから退職に至るまでの施策)が適切に行われることが重要であり、オフボーディングが適切に行われることによって、①退職意思が変わる可能性があること、②退職者の本音を引き出すことによって組織の改善につながること、③退職後もアルムナイとしての関係継続による再入社の可能性の増加「レピュテーションリスク」(自社に関するネガティブな評判などが社会に広まり、企業の信用やブランド価値の低下などが起こる)の低減といった効果を得ることができると主張した。 


アルムナイを活用した採用ブランディング

また、アルムナイを活用した採用ブランディングとして、カムバック採用者(アルムナイから戻ってきて現在社員でいる人)やアルムナイのままキャリアを構築している人を紹介することで、現役社員の個別紹介とは異なる効果を発揮できることも説明した。 企業の具体的なアルムナイ活用事例については、アルムナイネットワークの登録者を拡大している会社やアルムナイコミュニティを創設した会社、アルムナイにバーチャル社員証を発行し、自社店舗での会計時に社員証を提示することで料金の割引を行っている会社、アルムナイと現役社員との協業を推進している会社などを挙げた。 杉村氏は最後に「雇用関係は時限的になりつつあるが、辞めたあとの信頼関係は努力次第で継続可能だ」と強調した。



第99期「人事部長クラブ」は、「人事戦略から企業の未来をデザインする」を統一テーマに7月まで開催。
対象は、人事・労務、総務、人材、経営企画等のエグゼクティブ。



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