「禅を通じた人づくり」中央大学法科大学院教授(弁護士) 中川 深雪 氏

日本生産性本部は2025年5月16日、第99期「人事部長クラブ」の5月例会を東京・日暮里のたくぼく擇木道場で開催した。


人間禅名誉総裁 丸川雄浄氏の講演と座禅体験

感性(スピリッツ)の部分を充実させることが大事

参加者は、まず簡単なストレッチを行った後、20分間の「数息観(自分の息をひと呼吸ずつ数えることに集中し、心を整える瞑想法)座禅」を体験した。 その後、人間禅名誉総裁の丸川雄浄氏が、現代における坐禅の意義について講演した。
丸川氏は冒頭、「我々の『人間禅』は禅によって人間形成を図る、禅をツールとして人間形成を行い、自分を向上させていくことを目的としている」としたうえで、「人類の文化を大きく分けると、相対(知性・サイエンス)(自然科学、社会科学、人文科学)と絶対(感性・スピリッツ)(宗教・道。茶道や書道などの技芸道、剣道や弓道などの武道、宗教)の二つがあり、両者のバランスのとれた人間はいい仕事ができる。禅を行うことによってこの感性(スピリッツ)の部分を充実させることが大事である」と述べた。

前頭葉を活性化することが人間力の形成につながる

丸川氏は、「坐禅によって、大脳の頭頂葉での思考をとめ、前頭葉を活性化することができるようになる。それが深くできるほど、『三昧』(精神を集中して余念がないこと)の要素が増え、言葉を超えた境地に至る。さきほどの数息観座禅では、その入り口のさわりの部分を体験してもらった。『考えない力』を身に付ければ、前頭葉は活性化するが、実際には難しい。数息観坐禅によって息を数えることだけに集中し、それ以外のことは入ってこないようにする訓練を行い、それが身に付いてくれば相当、集中力がつく。毎日、繰り返していけば確実に身に付く。頭頂葉をオンオフし、前頭葉を活性化することが人間力の形成につながる」と指摘した。


「禅を通じた人づくり」中央大学法科大学院教授(弁護士) 中川 深雪 氏

ビジネスにおける座禅の効用

次いで、中央大学法科大学院教授で人間禅東京中央支部長の中川深雪氏が、「自分づくり」の禅について講演した。

中川氏は、禅の教えとは「釈迦の悟りを追体験すること」であり、「座禅」(数息観)と「公案修行」(禅問答)の二つが修行として体系化されていることや、座禅の最大の効果は心を整えることであること、座禅によって、ストレスや怒り・負の感情、コンプレックスから解放され、自己肯定感を高めることができることなどを説明した。ビジネスにおける座禅の効用については、目の前の仕事に集中できるようになり、集中力・決断力を高めることができることや、感性を高め、創造力・独創力を高めることができること、「自利利他(自分が幸せになると同時に他人を幸せにすること)」の精神を高め、コミュニケーション力を高めることができることなどを強調した。

最後に、参加者は再び、20分間の数息観坐禅を体験した。



第99期「人事部長クラブ」は、「人事戦略から企業の未来をデザインする」を統一テーマに7月まで開催。
対象は、人事・労務、総務、人材、経営企画等のエグゼクティブ。



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