「人手不足下の労働のありかた」立教大学経済学部教授 首藤若菜氏

日本生産性本部は2月21日、第99期「人事部長クラブ」の2月例会を都内で開催(オンライン併用)した。当日は、「人手不足下の労働のありかた」をテーマに、首藤若菜・立教大学経済学部教授が講演した。
人手不足下の労働のありかた
首藤氏は、人口減少と人手不足をどうとらえるかについては、今は一番人手(就業者数)が多いが今後は加速度的に人口が減少していくことや、60歳以上の高齢者の就業者数は今後も増えていくことなどを指摘し、それらを前提に人事労務施策を考えていくことが企業に求められていると述べた。
「賃上げは経済成長のスタート時点である」という発想
また、賃上げに関しては、賃上げにおける労働組合の効果は特に中小企業で大きいが、中小企業においては労働組合の組織率が低い(従業員規模1000人以上の推定組織率が39.8%なのに対し、従業員規模99人以下の推定組織率は0・8%)ことが課題であることや、長年賃金が上昇してこなかった背景には、「利益が十分に出ていないから賃上げは難しい↓労働組合も受け入れる↓賃金が上がらず内需が拡大しない↓経済成長の停滞↓企業利益が上がらず↓賃金が上昇しない」という「合成の誤謬」(ミクロレベルでは合理的な行動が、マクロレベルでは不合理な状況が生まれる)があったこと、「合成の誤謬」から脱却するには、「マクロ経済的には、賃上げは経済成長の結果ではなく、経済成長の源泉である需要を保障するものであり、その意味で賃上げは経済成長のスタート時点である」という発想を持たなければならないことなどを指摘した。
「仕事の内容・やりがい」の満足度の向上を図る
若年層の採用と離職については、採用力を高める以上に今いる従業員の定着率を高めること(従業員の定着率が低い職場は採用力も低い)や、職業生活の満足度が低い人は転職希望率が高いので、「仕事の内容・やりがい」の満足度の向上を図ることなどが重要だと説明した。
第99期「人事部長クラブ」は、「人事戦略から企業の未来をデザインする」を統一テーマに7月まで開催する。
対象は、人事・労務、総務、人材、経営企画等のエグゼクティブ。
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