組織開発とは?具体的な活動と企業事例

組織開発とは

組織開発とは、個人と組織、組織と組織の関係性を高めることにより、いきいきとした組織を実現し、創発*によるチームパフォーマンスの向上をもたらす取り組みです。

*「創発」とは、部分の性質の単純な総和にとどまらない特性が、全体として現れることです。組織においては、個々の能力や発想を組み合わせて創造的な成果に結びつける取り組みを指しています。

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なぜ組織開発は必要なのか?―目的、目標を実現するための相乗効果を生み出す


そもそも、なぜ組織をつくるのでしょうか?それは、1人で仕事をするよりも効果的だからです。

たとえば、アイデアを考えるとき、複数名で対話しながら考えると、1人では思いつかなかったアイデアが出てくる、つまり、1+1が3、4…となることがあります。これが組織をつくる意味です。そして、目的や目標を実現するために相乗効果が発揮される組織をつくる取り組みが組織開発です。

「成功循環モデル」を参考にした組織風土の醸成がポイント

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マサチューセッツ工科大学のダニエル・キム教授の提唱した『成功循環モデル』というものがあります。成果の出ている組織は、メンバーが互いに信頼の絆で結ばれています(①)。

そのような組織では、本音で対話をすることでこれまでと違う発想や深い洞察が可能となります(②)。その結果、これまでにない行動がとれたり、メンバーの助け合い行動が増えたりします(③)。それが最終的に良い結果につながる(④)という循環モデルです。

組織開発は、構成メンバーが互いにどのように関わるのか、そしてどのような組織風土を意図的に醸成し、定着させていくかがポイントになります。


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組織と従業員のwin-winを目指して

相手も自分もwin-winとなるコツについて、交渉の達人として商社の業界で一目置かれる人の話をご紹介します。 達人曰く、多くの人は、自分の利を先に考えて相手に譲歩させることを交渉だと考えますが、 交渉の極意はむしろその逆で、相手を利する複数の方法を先に考え、そこから自分の利に重なるものを提案していくことだそうです。 その結果、相手も自分もwin-winになります。

人材マネジメントが上手な企業は、この考え方に通じる哲学をもって施策を展開していることが多いです。 組織のビジョンや目標を達成するにあたり、経営側の論理だけで押し通そうとするのではなく、 組織を構成するメンバーの願望や意思に配慮するなど従業員側の論理も尊重しています。

なぜwin-winの人材マネジメントが上手くいくのか?

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なぜ、そのような人材マネジメントが上手くいくのでしょうか。それは端的に言えば、従業員がwinになる過程を通じて組織もwinになるからです。

これは、左図のループで捉えると分かりやすいです。 win-winの状態とは、従業員のループが上手く回転し、組織の成果に結びついている状態です。 ループを回転させる主体はあくまで本人であり、組織は様々な施策を通じてループの回転を支援します。


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ヤッホーブルーイング(食品)における組織開発の事例

ミッションと行動指針を明確にした組織開発

看板商品「よなよなエール」で有名なクラフトビール会社ヤッホーブルーイングは、12年にわたり組織開発を実践してきました。同社は『ビールに味を!人生に幸せを!』をミッションとしており、このミッションを実現するために、「ガッホー文化(がんばれヤッホー)」、「価値観(譲れないこと)」、「ヤッホーバリュー(ヤッホーらしさ)」を行動指針としています。このようなミッションと行動指針に基づいて、同社では個人と組織の一体感を高めています。

行動指針「ガッホー文化」の中心にある「知的な変わり者」

ガッホー文化
ヤッホーブルーイング画像提供
同社の行動指針の一つである「ガッホー文化(がんばれヤッホー)」は、右図のように表されます。その中心にある「知的な変わり者」とは、強みが「変わり者」のレベルまでとび抜けている人のことを指し、その強みを活かそうという考え方です。チームで成果を上げることを志向し、チームの中でそれぞれの強みを活かして、弱みは補えばよいと考えます。それを「凸凹(デコボコ)力」とも呼んでおり、互いの強みを共有するとともに、様々な個性の同僚に敬意をもつことをとても大事にしています。


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ニッカウヰスキー(食品)における組織開発の事例

リーダー養成で現場力強化

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ニッカウヰスキーは、課題解決能力の向上などをねらいとして、製造現場のリーダーを半年間で養成する「現場力向上リーダー育成プログラム」(当本部提供)を実施しています。 このプログラムでは、参加者一人ひとりの課題(本人の困りごとや組織から期待されている課題等)を扱い、改善効果を実感し成功体験を得ることで、 改善の楽しみを知り、自主・自律的に、継続的に取り組むことで改善の風土醸成を図っています。

改善活動による風土改革を目指したい
岸本健利 ニッカウヰスキー代表取締役社長の話

改善活動に期待していることは4つある。 1つ目は労働生産性の向上とともに、女性や高齢者も含め、すべての従業員が楽に仕事ができる職場をつくること。 2つ目は人材の育成だ。まずはリーダー層の育成をしっかりとやっていきたい。3つ目は技術の伝承。 技術を持った人材が定年退職でこれから辞めていく。標準化すべきところは標準化し、残された人間でやっていける職場にしたい。 4つ目は風土改革で、これが一番大事だ。

最終的には、改善活動が常にどこの職場でもぐるぐる短期間で回っているような職場風土を目指していきたい。 そうなれば、結果として利益が創出され、ひいては従業員の生活も豊かになり、モチベーションが上がって、次の改善に進むという好循環が生まれ、 会社は持続的に成長できる。この活動を広げていき、できるだけ多くの従業員に研修を受けさせたい。



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