調査・研究生産性レポート

生産性レポート Vol.11「欧州諸国における生産性動向」

2019年6月21日
公益財団法人 日本生産性本部

公益財団法人 日本生産性本部の生産性総合研究センターでは、このたび「生産性レポート」Vol.11として、『欧州諸国における生産性動向』(執筆:伊藤恵子中央大学商学部教授)を公開しました。

日本生産性本部では、日本の生産性を巡る状況に関しては『日本の労働生産性の動向』で、各国との比較については『労働生産性の国際比較』を刊行し、その時々のトレンドや特徴を紹介しています。一方で、生産性の停滞が先進国共通の課題とされている現状においては、各国の生産性を巡る現状や抱えている課題などを詳細に分析することには大きな意義があると考えられます。

そこで、本稿では近年域内の格差やそれに付随する社会不安などが取りざたされる欧州諸国について、各国における生産性の動向と決定要因について、先行研究の成果などを踏まえて整理し、欧州各国、そして欧州全体としての課題を論じています。その結果見えてきたのは以下の3点です。

  1. (1)欧州諸国の生産性水準や成長率が、特に米国と比べて低い状態が続いている
  2. (2)欧州域内の各国間でも生産性やその他の経済パフォーマンスに大きな差異がある
  3. (3)欧州各国内の同一産業内においても企業間の生産性格差が大きく、しかもその格差が拡大傾向にあり、生産性格差が所得格差と関連している

このうち、企業間の生産性格差は欧州以外の多くの国でも存在しますが、OECD(経済協力開発機構)等で掲げられている“Inclusive growth”(「包括的な成長」、つまりグローバル化や技術進歩の恩恵を広く社会全体に行き渡らせること)が、欧州では各国間の格差とも相まって、より問題が複雑になっているとともに、欧州全体としての政策策定・協調の難しさを生んでいるように見受けられます。伊藤氏は、主に経済政策の観点から先行研究を整理するとともに、今年3月にOECDに滞在して得られた知見を基にこの問題について本稿で論じています。

なお、日本生産性本部では、「生産性レポート」等を通じ、今後も各国の生産性を巡る動向についての研究活動を実施していく予定です。

執筆:伊藤恵子氏
中央大学商学部教授。専門分野は経済政策。グローバル化や国際競争などが各国及び企業に与える影響等についての考察を行っている。主な著書は、『国際競争力を高める企業の直接投資戦略と貿易』(共著)、『東アジア統合の経済学』(共著)等。

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