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質を調整した日米サービス産業の労働生産性水準比較

2018年1月26日
公益財団法人 日本生産性本部

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公益財団法人 日本生産性本部は1月26日、「質を調整した日米サービス産業の労働生産性水準比較」を発表しました。産業別にみた労働生産性水準は、2016年12月に日本生産性本部が「日米産業別労働生産性水準比較」(座長:滝澤美帆・東洋大学教授)として発表し、日本の労働生産性が製造業で米国の7割、サービス産業で5割であることを明らかにしました。ただし、サービス産業の労働生産性を比較する際、品質の違いを十分に加味できていないことが課題に挙げられています。一方、日本生産性本部が2017年7月に発表した「サービス品質の日米比較」(主査:深尾京司・一橋大学教授)によれば、日本のサービス品質は多くの分野で10~20%程度米国を上回っています。そこで、日本生産性本部では、深尾京司・一橋大学教授、池内健太・経済産業研究所研究員、滝澤美帆・東洋大学教授を研究メンバーとして、これまでに発表した以下の研究成果をベースに、サービス産業主要分野の労働生産性が品質を調整すると米国と比べどのくらいの水準になるのかを試算しました。

日本の労働生産性(2012年)は、運輸や卸売・小売、飲食・宿泊といったサービス産業の主要分野において、質を調整すると日米格差が縮小しています。ただ、質を調整した結果、生産性水準が米国を上回ったのは医療・福祉のみであり、ほとんどの分野において質を加味しても依然として米国を下回る状況にあります。

<概要>

  1. 1.質を調整した日本の労働生産性は、運輸で米国の5割、卸売・小売や飲食・宿泊で4割の水準。
    • サービス産業主要分野における日本の労働生産性(2012年)は、医療・福祉(米国の生産性水準を100としたときに114.1)などで米国を上回る水準であるものの、運輸(同52.6)で米国の5割、卸売・小売(同40.6)や飲食・宿泊(同38.5)といった分野で4割にとどまっている。
  2. 2.日米労働生産性格差は、質を加味すると縮小する分野が多く、運輸でも10%ポイント、飲食・宿泊でも5%ポイント程度改善している。ただし、ほとんどの分野では、質を調整しても米国との生産性格差を埋めるにはいたっていない。
    • 質の調整することで日米間の生産性格差が縮小したのは、サービス産業主要分野で今回試算を行った9分野のうち教育を除く8分野にのぼる。特に、運輸(質調整前43.0→質調整後52.6/米国=100)で10%ポイント、飲食・宿泊で5%ポイント(同33.3→38.5)程度改善した。産業規模の大きい卸売・小売(同37.5→40.6)でも、生産性格差が3%ポイント縮小している。
    • ただし、こうした分野でも品質を加味しただけでは米国との生産性格差を埋めるにいたらず、依然として米国の4~5割程度の生産性水準にとどまっている。このことは、サービス産業においてさらなる生産性向上を進める必要性を示唆している。
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