世界経営幹部意識調査2020 日本分析レポート
日本の経営者は付加価値労働生産性*向上を志向した積極投資を
2020年5月28日
公益財団法人 日本生産性本部
調査研究・提言活動 資料ダウンロード
調査研究や提言、実践活動により生産性向上をめざす公益財団法人日本生産性本部は5月28日、米国コンファレンスボード(TCB:The Conference Board, Inc.,/ニューヨーク/President & CEO:Steve Odland)と協働した「世界経営幹部意識調査2020」から、日本企業経営幹部の競争に勝つ外部連携に対する意識の現状と課題を分析し、公表しました。本調査は、提携先であるコンファレンスボードが1999年より年次調査として行っている「世界経営幹部意識調査(英語名:C-suite Challenge)」に、当本部がリージョナル・パートナーとして参加しているもので、グローバル視点での生産性課題の解決に向けた国際連携活動の一環となります。
今回の調査は、「競争に勝つコラボレーション(Collaborating to Compete)」をテーマに、多様な外部組織とのコラボレーション(連携)等に向けた経営幹部の意識について2019年9~10月に実施したもので、世界45か国1,520名(うち日本は235名)の経営幹部から回答を得ています。当本部は、日本の経営幹部(取締役以上)を対象に、生産性向上のための投資・組織・人事戦略に関する独自質問を設定し、結果から現状と課題を分析、日本分析レポートの策定に参画しました。
本調査結果では、日本は世界と比較して「コラボレーション(外部連携)に関する自信度が低く、取り組みも遅れ気味」との傾向がみられます。また、日本の経営幹部が現在取り組んでいる生産性向上のための投資戦略の上位は、「既存設備・システムの保守・刷新、業務効率化投資など」とやや守りの姿勢が浮き彫りになりました。競争力強化と生産性向上のためには、「生産性の分子である付加価値を創出する投資」が望ましく、具体的には、オープン・イノベーションに資する投資やそれに伴う組織・人事改革が有効です。
日本の経営幹部の主な特徴は以下の通りです。
【日本の経営幹部の主な特徴】(詳細は資料1参照)
Ⅰ.外部組織とのコラボレーションについて
1. 日本の経営幹部の自信度は、世界と比較して以下の項目で特に低い(P4)
- ・従業員にコラボレーション創出に必要なスキルと心構えがある
- ・コラボレーション強化に向けて業務や組織の本質を再設計するための専門知識、勇気やコミットメントを持ち合わせている
- ・コラボレーションを成功させる取り組みを奨励し評価する効果的な報酬制度がある
2. 非従来型パートナーとのコラボレーションの取り組みに関して世界との差が大きい(P5)
- ・関連産業セクター、大学、シンクタンク、スタートアップ、政府などの非従来型パートナーとのコラボレーションについて、
日本は「存在しない」が最も多いが、世界では「試行中」が最も多く、取り組みに差が出ている。
Ⅱ.生産性向上のための投資戦略について(日本の経営幹部のみを対象とした設問)
1.生産性向上のための投資戦略の現状はやや保守的(P11)
- ・現在重点的に取り組んでいることは
「既存事業の設備・システムの保守・刷新」「RPAなどデジタル技術活用による業務効率化」「社内でのR&D強化」が上位。 - ・今後注力したいことは
「新たなビジネスモデル構築」「AI/IoTやビッグデータを活用した商品・サービス開発」「他社と共同でのR&D強化」が上位。
2.上記投資戦略に伴う組織・人材戦略の現状は組織内部に重点(P12)
- ・現在重点的に取り組んでいることは
「ミドル層(管理者・管理職等)の内部育成の強化」「経営理念・戦略浸透強化のための経営目標・評価軸策定」
「イノベーションを生み出す組織風土への改革」が上位。 - ・今後注力したいことは
「イノベーションを生み出す組織風土への改革」「新たな事業に必要なスキル・ネットワークを持つ人材の外部調達」
「多様な高度スキルや新たな職務に対応する人事制度改革」が上位。
*付加価値労働生産性:生産性は成果(output)を投入(input)で割って計算します。成果を付加価値(企業が新たに付け加えた金額的な価値)、投入を労働投入量(労働者数、または労働者数×労働時間)として計算したものが「付加価値労働生産性」です。成果に金額ではなく生産量などの物量をおく「物的労働生産性」と区別されます。
「世界経営幹部意識調査2020」(英語版)はTCBのサイトをご参照ください。
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公益財団法人 日本生産性本部 統括本部国際連携室(担当:宮坂、原田)
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