「人的資本経営の浸透・ 従業員認知に関する調査 ~ワーク・エンゲージメント、生産性、心理的安全性を高めるには~」
人的資本経営施策の「個別対応」が、ワーク・エンゲージメント、生産性、心理的安全性を高めるカギ
2026年4月10日
公益財団法人 日本生産性本部
調査研究・提言活動 資料ダウンロード
公益財団法人日本生産性本部(東京都千代田区、理事長:前田和敬)は、4月10日、「人的資本経営の測定・開示ワーキンググループ(WG)」にて取りまとめた「人的資本経営の浸透・従業員認知に関する調査~ワーク・エンゲージメント、生産性、心理的安全性を高めるには~」を発刊しました。
近年、無形資産への関心の高まりや、有価証券報告書における人的資本情報の開示義務化などを背景に、「人的資本経営」への注目が高まっています。本報告書は、2024年7月に取りまとめた「人的資本の測定と開示が企業経営に与える影響 ~日系企業に対するヒアリング調査とアンケート調査報告~」で得られた知見を実証分析するため、上場企業に勤務する正社員1,097名を対象に「人的資本経営浸透度調査」としてインターネット調査を行い(本年2月4日に調査結果を速報版として公表)、これまでの調査結果を統合し、人的資本経営を効果的に推進するための実践的な知見と提言を整理したものです。
調査結果の要点1:人的資本経営の成果に結びつくのは「個別対応」
- 従業員の心理的安全性、ワーク・エンゲージメント、生産性認知は、「人的資本経営施策の個別対応(上司の支援や成長機会の提供といった個人に対して講じられる施策)」に対して、強く関連している。
- 「人的資本経営施策のマス対応(トップからの情報発信や方針の理解浸透といった全員に対して講じられる施策)」とも正の関連を示しているが、人的資本経営の成果は、制度の有無や社内広報の量ではなく、現場で日常的に行われる支援・対話・育成が「実際に実感できるか」によって左右される。
調査結果の要点2:ワーク・エンゲージメント、生産性認知、心理的安全性は効果がある要因が異なる
- 「人的資本経営施策の個別対応」と並んで、ワーク・エンゲージメントは「人的資本の独自性」(自分は代替えできない存在であるという認知)、生産性認知は「人的資本の価値」(自分は役に立っているという認知)との関連が高い。
- 心理的安全性は「人的資本経営施策の個別対応」との関連が特に強く、日常の対話や支援の質、組織での「扱われ方」が重要と考えられる。
- 有価証券報告書等で開示される取り組みは、「人的資本経営施策のマス対応」が中心になりやすいが、「個別対応」として現場でどのように運用され、個々人が「価値」や「独自性」を実感できる形で届いているかに効果は左右される。
人的資本経営を浸透させるための提言
- 1:管理職が日常的に行うべき人材マネジメントの中身を明確化する
- 2:従業員が「人的資本の独自性」を感じられる経験を増やし、ワークエンゲージメントを高める
- 3:従業員が自分自身に「人的資本の価値」があると実感させ、生産性認知を高める
- 4:「対話」の質を高め、心理的安全性を向上させる
- 5:浸透努力を続ける
「人的資本経営の浸透・従業員認知に関する調査」<目次>
Ⅰ 調査の目的
Ⅱ 調査の概要 (一守 靖・事業創造大学院(開志創造大学大学院) 教授)
Ⅱ-1 有価証券報告書調査(全3回)
Ⅱ-2 ヒアリング調査
Ⅱ-3 アンケート調査
Ⅲ 人的資本経営浸透度調査の分析結果と考察 (浅野浩美・事業創造大学院(開志創造大学大学院) 教授)
Ⅲ-1 「人的資本経営を効果的に進めるための10 のポイント」と調査結果
Ⅲ-2 10 のポイントに関する調査結果のまとめ
Ⅲ-3 人的資本経営とワーク・エンゲージメント
Ⅲ-4 人的資本経営と生産性
Ⅲ-5 人的資本経営と心理的安全性
Ⅲ-6 人的資本経営を成果につなげるには
Ⅳ まとめと提言 (一守靖・浅野浩美)
日本生産性本部「人的資本経営の測定・開示ワーキンググループ」について
人的資本経営の測定・開示のあるべき姿と人的資本指標の具体的な活用を討究・発信することを目的に、2023年4月に設置。学識者と企業実務家(東証上場企業の人事部門)で構成され、一守靖 事業創造大学院(開志創造大学大学院)教授が座長を務める。
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公益財団法人 日本生産性本部 コンサルティング部
雇用システム研究センター(担当:前田、大西)
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