第1回:アライプロバンス 取締役 田草川直樹氏(2022年4月15日号)


~ウィズコロナのリーダー像①~

新型コロナウイルスの感染拡大は企業経営や人々の働き方などに大きな影響をもたらしている。ウィズコロナの時代に組織のリーダーに求められる役割は何か。日本生産性本部が実施している「次世代経営幹部育成プログラム(CLP)」を受講した企業の経営者や経営幹部に、あるべきリーダー像や、経営人材の育成のあり方などを聞いた。


■総合不動産業への転換の一翼を担う

創業明治36年のアライプロバンス(旧新井鉄工所)は117年間、主に石油掘削機器の製造・輸出などの金属加工業を続けてきたが、2020年7月に社名を変更し、従来の製造業から総合不動産業へと、大きく舵を切った。社名のプロバンスは、資産を表すプロパティーと前進を表すアドバンスから名付けた。 

金属加工業から完全に撤退し、第二創業という形で再出発したが、そのもとになったのが、東京の城東地区に所有している広大な土地だ。敷地面積1万4800平方メートルの浦安工場跡地や、敷地面積5万6000平方メートルの江戸川工場跡地(江戸川区東葛西)などのまとまった土地があった。

その第1弾として、昨年10月28日に竣工したのが、浦安工場跡地に建設した「アライプロバンス浦安」。都心に近いという立地を生かし、都心へのラストワンマイル物流に役立つ大型物流倉庫を開発した。第2弾として、今年夏には江戸川工場跡地に「アライプロバンス葛西」を着工する。

今後は、開発運用のほか、売買(外部からの物件購入・売却)、売買仲介、賃貸仲介、プロパティマネジメント(賃貸管理)、アセットマネジメント、コンサルティング、不動産鑑定評価などを展開し、物流倉庫のほか、マンション(分譲、賃貸)、オフィスビル、商業施設、宿泊施設、有料老人ホームなど、様々な物件を扱う総合不動産業を目指している。
 
企業理念としては「アライズム」(当事者意識・目的意識・問題意識・スピード感・誠心誠意・本音)を重視し、経営ビジョンとしては「城東エリアでチャレンジ精神ナンバーワンの総合不動産会社となる」を掲げている。




 
田草川氏は、大手建設会社、不動産鑑定事務所、マンションデベロッパー会社を経て、不動産事業の統括責任者として2019年2月に同社に入社した。それまでのキャリアで得た知識やノウハウ、取得した各種の資格(不動産鑑定士や宅地建物取引士、マンション管理士、管理業務主任者、行政書士等)が今の業務に役立っているという。


同年7月の取締役就任後、すぐに日本生産性本部の「次世代経営幹部育成プログラム(CLP)」に参加した。そこで立案した「経営戦略構想」をもとに経営戦略を実行している。「私自身の仕事としては、代表取締役社長、代表取締役専務の方針を踏まえ、また、中期経営計画の目標を見据えながら、少数精鋭で収益を上げることが命題だと思っている。当面は、昨年竣工したアライプロバンス浦安を満室稼働させて安定収益を確保するための営業活動に注力している。また、今年夏に着工するアライプロバンス葛西の準備推進や、手持ち資金を活用した新規物件の取得なども強力に進めていきたい」(田草川氏)としている。

田草川氏は自身を、社長と専務を上司に持ち、部課長を部下に持つ「中間リーダー」だと規定する。「現状では私はプレイングマネジャーだが、部課長の業務状況を鑑みて、迅速な判断が求められることは私が行い、それ以外は徐々に部課長に任せるようにしている。また、部課長への一方的な指示だけではなくどうしたいかを言ってもらうことや、YESかNOかの回答はすぐに行うこと、賛成意見の場合は気持ちよく同意の意思表示をし、反対意見の場合も否定や批判はせず、明らかな誤りや重大なリスクを伴う場合以外は、部課長が強く主張することはやらせてみることなどを心がけている」という。

「大企業と異なり、一人でも欠けると業務が滞る可能性を多分に含んでいる当社においては、中間管理職的な位置にいる私の役割は、経営トップと部課長の間で社内の風通しを良くすることも、重要な役割であると考えている」(田草川氏)。

<全3回連載>

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