第2回:ミツウロコヴェッセル 代表取締役社長 坂西学氏(2022年4月25日号)
~ウィズコロナのリーダー像②~
新型コロナウイルスの感染拡大は企業経営や人々の働き方などに大きな影響をもたらしている。ウィズコロナの時代に組織のリーダーに求められる役割は何か。日本生産性本部が実施している「次世代経営幹部育成プログラム(CLP)」を受講した企業の経営者や経営幹部に、あるべきリーダー像や、経営人材の育成のあり方などを聞いた。
■脱炭素社会 対応の道筋を強化する
ミツウロコグループは、1886年の創業以来、石炭から煉炭・豆炭、石油製品、LPガスと、時代に応えるエネルギーの供給と生活周辺サービスを提供してきた。2011年には持株会社化され、グループの経営戦略・経営管理を担当するミツウロコグループホールディングスの傘下に各事業会社が連なる現在の形態になった。
坂西氏が社長を務めるミツウロコヴェッセルは、ミツウロコグループの中核企業で、関東や東北を中心として北海道、中部、関西、四国までカバーし、LPガス事業、石油製品事業、住宅設備機器事業、煉炭・豆炭事業など、家庭用のエネルギーをメインに事業を展開している。

坂西氏は、1991年にエッソ石油に入社以来、潤滑油のビジネスや燃料油ビジネスなどに携わり、ミツウロコとの取引を担当した時期もあった。2019年6月の株主総会でミツウロコヴェッセルの社長に就任し、ミツウロコグループホールディングスの取締役を兼任している。
現在、社長として力を入れていることは、脱炭素社会の実現に向けた取り組みだという。「2050年に向けて、既存の事業を継続させながら、脱炭素、減炭素の取り組みを強化していく道筋を経営幹部と議論しながら、固めていきたい」。もう一つは「ミツウロコヴェッセルにはグループ全体で約900人の社員がいるが、社員が働きやすい環境を整え、様々な課題に前向きに取り組める組織づくりに注力している」。
日本生産性本部が主催している「次世代経営幹部育成プログラム(CLP)」には、社長に就任した2019年に受講した。「社長に就任して間もない時期だったが、プログラムを通して自分の経験を改めて棚卸し整理することができ、また、他業種の皆様と忌憚のない意見交換ができ貴重な時間だった。新たな使命に取り組む良い準備となった」。
社長の役割については、「社長はやはり、物事を決めていかなければならない。当たり前のことだと思うが、それを改めて感じている。中間管理職であれば、分析してレポートを上に上げれば、それで終わりだが、社長という立場になると、それらを踏まえて最終的な意思決定をしなければ、会社として前に進めない」と強調する。
また、意思決定の判断材料の一つに、インテグリティ(誠実さ)を置いている。「極端なことを言えば、『法的にはグレーゾーンかもしれないが儲かるからいいのではないか』といったことは、少なくとも私のこれまでの経験とやってきたことを照らし合わせれば、それは許容できない」という。
経営者の条件については、「まず、リーダーシップがあることが第一条件だ。単に分析できるだけではだめだし、頭がいいだけでもだめ。誠実さや多様性を受け入れる姿勢を持っていることも重要だ」と語る。
同社の今後の方向性については、「これまで家庭用エネルギーを中心に成長してきたが、今は、非常に難しい経営環境の中にいると認識している。ミツウロコのお客様に対して、どういう提案ができるのかを整理し、深掘りしていきたい。電気・都市ガスも含めたエネルギー市場の自由化によって、ミツウロコがこれまで培ってきたことがより一層活かせるようになっている。更なる成長を求めてカーボンニュートラルの時代に前向きに対応しチャレンジしていきたい」としてい。
<全3回連載>
- 生産性新聞2022年4月25日号(PDF:1,401KB)
- 第21期 次世代経営幹部育成プログラム
- 第1回:アライプロバンス 取締役 田草川直樹氏(2022年4月15日号)
- 第3回:ニチレイバイオサイエンス 代表取締役社長 横井英夫氏(2022年5月15日号)
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