調査・研究自治体に関する調査研究・提言

第8回 地方自治体の新公会計制度の導入に関するアンケート調査結果

2016年1月22日
公益財団法人 日本生産性本部

公益財団法人 日本生産性本部の自治体マネジメントセンターは、この度「第8回地方自治体の新公会計制度の導入に関するアンケート調査」結果を発表した。地方自治体は企業会計的な決算手法の導入に取り組んでいる。本調査は、その全国的な取り組み状況を明らかにするため、全国の都道府県及び市区町を対象に平成27 年7 月~8 月に実施したものであり、国が整備を要請してから継続的に実施されている唯一の調査である。

『第8回 地方自治体の新公会計制度の導入に関するアンケート調査』結果

  1. 1.固定資産台帳の整備は急速に進展、しかしその質には大きな課題がある(3頁)

    93.9%の団体が平成28年度までに固定資産台帳整備を完了する予定となっている。平成25年に実施した前回調査では61.6%の団体で完了時期が未定であった。固定資産台帳整備は急速に進展している。しかし、国が示した手引きに基づいて固定資産台帳を整備した場合、固定資産の評価基準が団体ごとに異なる恐れがあり、比較可能性について大きな問題がある。基礎となる固定資産台帳の評価基準がバラバラでは開示された情報の利用者をかえってミスリードする恐れがある。固定資産台帳の質を高めることが必要である。

  2. 2.日々仕訳を予定している団体は僅か3.1%、財務書類のマネジメントでの活用を本気で推進するのであれば、まずは法定の決算制度の見直しを検討すべきである(6頁)

    統一的な基準による財務書類を作成する予定の団体のうち、原則とされた「日々仕訳」を予定している団体は僅か3.1%となっている。他方、期末一括仕訳を予定している団体は71.6%となっており、大半を占めている。複式簿記を導入する意義の一つは、財務書類のマネジメントでの活用とされている。適時性に問題のある「期末一括仕訳」では財務書類のマネジメントでの活用に限界がある。もし財務書類のマネジメントへの利用を本気で推進するのであれば、まずは法定の決算制度の見直しを検討すべきである。

  3. 3.財政規律として健全化判断比率を利用している団体は80%、財務書類の指標も組み合わせ、財政規律足り得る指標を開発することが必要である(p8頁)

    財政規律として「健全化判断比率」を利用している団体は80%となっている。しかし、健全化判断比率は財政規律としては不十分である。これまでも財務書類はほぼ100%の団体で作成されてきた。しかし、財務書類は公表されるものの、財政規律を含めその他の活用はほぼされてこなかった。「資産老朽化比率」のように、既存の財政指標だけでなく標準装備となった財務書類の指標も組み合わせ、財政規律足り得る指標を開発することが望まれる。

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