調査・研究労働生産性の国際比較

労働生産性の国際比較 2010年版(生産性研究レポートNo.023)

2010年12月20日
公益財団法人 日本生産性本部

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公益財団法人 日本生産性本部は2010年版「労働生産性の国際比較」をまとめた。OECDデータによるOECD加盟国間の比較とともに、世界銀行などのデータによるOECD以外の国々の比較を行っている。また、2010年版では、新たに主要先進国の産業別労働生産性水準の比較も行っている。主な結果は以下の通り。

【1】 日本の労働生産性は65,896ドル(755万円/2009年)。1998年以来11年ぶりに前年水準を割り込み、順位もOECD加盟33カ国中第22位と前年から1つ低下。

2009年の日本の労働生産性(就業者1人当たり名目付加価値)は、65,896ドル(755万円/購買力平価換算)でOECD加盟33カ国中第22位、主要先進7カ国では最下位。2008年(67,600ドル)より1,704ドル(2.5%)低下し、順位も2008年の21位から1つ低下した。第1位はルクセンブルク(118,230ドル/1,355万円)、第2位はノルウェー(106,217ドル/1,217万円)、第3位が米国(98,773ドル/1,132万円)だった。

【2】 製造業の労働生産性は米国水準の70.6%、OECD加盟主要22カ国中第6位と上位を維持。

日本の製造業の労働生産性水準(2005~2007年平均/購買力平価換算)は米国の70.6%。データが得られたOECD加盟22カ国中第6位。主要先進7カ国でみると、米国に次ぐ第2位と上位を維持している。

【3】 サービス産業の労働生産性は、卸小売(米国水準比42.4%)や飲食宿泊(同37.8%)で大きく立ち遅れ。

サービス産業の労働生産性水準は、卸小売で米国の42.4%(OECD主要21カ国中第17位/2005~2007年平均)、飲食宿泊で同37.8%(同20カ国中第15位)と、米国の4割程度の生産性水準にとどまった。運輸(米国水準比48.4%)やビジネスサービス(同50.8%)も米国の半分前後の生産性水準であり、郵便通信(米国水準比73.2%)など一部を除き、サービス産業の生産性は米国を大きく下回り、立ち遅れが目立つ。

*主要産業の生産性対米国水準比

製造業 電気ガス 卸小売 飲食宿泊 運輸 郵便通信 金融仲介 ビジネスサービス
70.6% 61.0% 42.4% 37.8% 48.4% 73.2% 87.8% 50.8%

【4】 日本の実質労働生産性上昇率は、金融危機を境に大幅に低下。低下幅はG7で最大。

金融危機が発生した2007年以降(2007~2009年)の実質労働生産性上昇率は、日本が年率平均-2.22%と、主要先進7カ国中第5位、OECD加盟33ヵ国中第24位。金融危機が発生するまでの時期(2001~2007年平均)をみると、日本の実質労働生産性上昇率は1.79%(OECD加盟33カ国中第13位)と、米国(1.52%/第17位)をわずかながら上回るが、金融危機を境に大きく落ち込んだ。実質労働生産性上昇率の低下幅(-4.01ポイント)は、主要先進7カ国で最も大きくなっている。

【5】 BRICsの労働生産性はロシアの31,627ドル(51位)が最高。中国は10,605ドルで85位。

世界銀行のデータでみると、BRICs各国の労働生産性は、ロシアが31,627ドルで96カ国中第51位。ブラジルが21.513ドルで第66位だった。(インドの労働生産性はデータ不備で計測できていない)。中国の労働生産性水準は10,605ドルで第85位だったが、2000年代後半の実質労働生産性上昇率(2006~2008年平均)をみると+11.1%(93カ国中第3位)と、急激な上昇が続いている。

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