第5回 地方自治体バランスシートの全国比較
2010年8月18日
公益財団法人 日本生産性本部
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公益財団法人 日本生産性本部の自治体マネジメントセンターは、地方自治体のバランスシート及び行政コスト計算書を全国から収集し、「第5回 地方自治体バランスシートの全国比較」(平成19年度決算版)を発表した。本調査は地方自治体のベンチマーキングを行い、各団体の行財政改革に役立てることを目的としている。
本調査は、全国初の大規模な全国比較を行った平成18年4月発表の第1回(平成15年度決算版)以来5回目となるものである。全国比較にあたっては、「安定性」「自立性」「柔軟性」「生産性」「資本蓄積度」「世代間公平性」の6つの視点からの各評価と、6つの視点を統合した総合評価を行った。主な結果は以下の通りである。
第5回地方自治体バランスシートの全国比較(平成19年度決算版)
<市町村合併>
- 市町村合併によって、人口一人当たりの有形固定資産が増加している。また、面積当たりの有形固定資産は減少している。合併によって、合併市町村の投資効率が悪化傾向であることが言える。(P22)
市町村合併によって、人口一人当たり有形固定資産が約半数の団体で増加している。また、大半の団体で面積当たりの有形固定資産が減少している。市町村合併の目的として、地方自治体の行財政基盤の強化が挙げられている。今後、合併市町村は、財政基盤強化に向けて社会資本の整備や更新を慎重に計画しつつ、行政コスト削減にも努めていくことが課題となってくると考えられる。
<道・県>
- 愛知県は、柔軟性、世代間公平性、安定性が他団体と比べて高くなっている。負債が少なく、収入に見合ったコスト構造となっている。(P9)
総合評価で、愛知県が1位となっている。これには、自立性(収入合計に占める依存財源の割合、正味資産に占める補助金の割合、財政力指数)、柔軟性(コスト合計/収入合計、経常収支比率)、世代間公平性(社会資本形成の世代間負担比率、一般財源等増減額/収入合計)、安定性(純負債/標準財政規模、流動比率、実質公債費比率)が影響していると考えられる。愛知県は、平成19年度決算について、財政規模に対して負債が少なく、コストに対して収入が多い財政構造になっており、余裕のある状況であることが窺える。
<市区>
- 愛知県刈谷市は、国の財源に頼らない余裕のある財務体質を築いている。5年連続で上位にランクしており、良好な財政基盤を維持している。(P14)
市区別の総合評価で愛知県刈谷市は1位となっている。自立性(収入合計に占める依存財源の割合、正味資産に占める補助金の割合、財政力指数)、柔軟性(コスト合計/収入合計、経常収支比率)で1位、世代間公平性(社会資本形成の世代間負担比率、一般財源等増減額/収入合計)で2位、安定性(純負債/標準財政規模、流動比率、実質公債費比率)で4位となっている。将来負担が少なく、国や県の財源に頼らず、経常的な収入で行政サービスのコストを賄えている良好な財務体質を維持している。しかし、生産性(人口1人当たり行政コスト、人口千人当たりの職員数)が低くなっている。
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