調査・研究レジャー白書

レジャー白書2010

~2020年の余暇 人口減少社会への挑戦~

2010年7月27日
公益財団法人 日本生産性本部

公益財団法人 日本生産性の余暇創研は、『レジャー白書2010 ~2020年の余暇 人口減少社会への挑戦~ 』をとりまとめた。同白書は、全国15歳以上3,000人対象の余暇活動実態調査結果等をもとに、わが国における余暇の実態を需給双方の視点から総合的・時系列的にとりまとめている唯一のもので、昭和52年の創刊以来通算34号目になる。 

【1】日本人の余暇活動の現状 

~高速料金値下げで「ドライブ」首位、自転車も好調~

【段落テキスト】

2010年前半は、厳しい不況や新型インフルエンザによる打撃が重なったが、単価の低下や高速道路料金値下の効果もあり、参加者が伸びた種目・業界も見られた。

参加人口第1位となったのは、高速道路料金値下げの恩恵を受けた「ドライブ」。「動物園、植物園、水族館、博物館」など手軽な行楽系種目は引き続き人気。スポーツ自転車などの自転車ブームで「サイクリング・サイクルスポーツ」が参加人口増。ランニングも引き続き好調だった。

不況や低価格化のあおりを受けたのが「外食(日常的なものを除く)」「バー、スナック、パブ、飲み屋」。前者は長く参加人口第1位を維持してきたが、今回はじめて3位に順位を落とし、参加人口も減少した。

【2】余暇関連産業・市場の動向 

~市場規模は70兆円割れ/技術革新で新市場開拓盛ん”~

2010年の余暇市場は69兆5,520億円(前年比-4.3%)。景気低迷に新型インフルエンザ流行が重なり、1989年以来の70兆円割れ。消費者の節約志向が強く多くの業界で客単価が低下。一方、3D映画元年など技術革新による新市場開拓の試みが相次いだ。

スポーツ部門(前年比-2.4%) ランニング関連用品・スポーツ自転車が好調。ゴルフ練習場はプラス成長となったが、ゴルフ場は売上減。フィットネス市場も会員減で縮小した。

趣味・創作部門(前年比-4.2%) 3D映画元年など、技術革新による新市場開拓が盛ん。映画などエンタティメント系レジャーは堅調だった。

娯楽部門(前年比-3.4%) パチンコは6年連続の減少。ゲーム、ギャンブル市場も軒並み低下。低価格競争が激しい「外食」では既存店が落ち込んだ。

観光・行楽部門(前年比-9.4%) 新型インフルエンザの影響で遊園地・テーマパーク入場者数は減少。旅行業は店頭販売で苦戦となり、ホテル・旅館の宿泊市場も縮小。

【3】トピックス “リバイバル需要”を掘り起こす

過去に活動経験のある人々は新規顧客に比べて需要掘り起しのハードルが低いといわれ、業界の関心が高まっている。各種目・業種の需要のリバイバルの可能性や期待を探るため、過去に参加経験のある人々の持つ“潜在需要”を調べた。

結果、観光・行楽部門「海外旅行」「オートキャンプ」「登山」など、スポーツ部門「水泳(プールでの)」「スキー」「テニス」、趣味・創作部門「観劇(テレビは除く)」「音楽会・コンサートなど」などの種目が上位となり、例えば「スキー」では440万人と、現在の参加人口の半数を上回る需要の掘り起こしが期待できることがわかった。さらに現在は参加希望を持たないが参加経験をもつ人々の割合(「休眠率」)も多くの種目で高い値を示しており、人々の“眠れる経験”の呼び覚ましが期待される。

【4】特別レポート「2020年の余暇 人口減少社会への挑戦」 

~社会や自分の「役にたつ余暇」の時代へ~

人口減少・少子高齢化の進む10年後を想定し、余暇の需給構造の変化について展望した。アンケート調査結果では、「社会参加」や実益など、人々の余暇価値観の今後の変化の方向性が浮き彫りになった。

現在および今後の「余暇に求める楽しみや目的」について比較したところ、「今後」のニーズが「現在」を10ポイント以上上回ったのは(1)「社会や人のために役立つこと」および(2)「健康や体力の向上を目指すこと」(3)「ぜいたくな気分にひたること」(4)「実益(収入)に結びつくこと」の4項目であり、(1)(2)は高齢者層、(3)(4)は若年層で多いという特徴がみられた。

今後余暇の“主役”となっていく高齢者層では、自分や家族の「健康」を意識しながら、これまでの人生や余暇における経験を活かし、社会への参加を求めていこうという志向性が見られ、一方20~30代の若年層では自由時間を収入や自分自身への投資に結びつけようとする意識も垣間見られた。

特別レポートでは、こうした分析結果を手がかりに「健康」「教育・学習」「地域」「環境」「IT」といったテーマに沿って「2020年の余暇」への対応の方向性を探った。

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