調査・研究自治体に関する調査研究・提言

第3回 地方自治体の新公会計制度の導入に関するアンケート調査結果

公会計整備進むも、団体間比較に課題~新公会計制度の抜本的な見直しが求められる~

2009年12月21日
公益財団法人 日本生産性本部

財団法人 日本生産性本部の自治体マネジメントセンターは、この度「第3回地方自治体の新公会計制度の導入状況及び財政状況に関するアンケート調査」結果を発表した。

この調査は、総務省・新地方公会計制度研究会「新地方公会計制度研究会報告書」(平成18年5月)に基づく地方自治体の企業会計的な財務諸表の作成について、全国的な取り組み状況を明らかにすること及び地方自治体の財政状況に対する実感を調査するために、全国の都道府県、市区町を対象に平成21年8月~9月に実施したものである(回収率49.6%:都道府県 36.2%、政令指定都市 38.9%、市区 64.0%、町 36.5%)。なお、当センターでは、平成18年より毎年、自治体のバランスシート全国比較を行っている(結果については巻末を参照)。

調査結果のポイントは以下のとおり。

  1. 1.財務書類の作成モデルが複数存在し、統一されていないため、他団体との比較が難しい(P3)
    現在、「総務省方式(10.5%)」「基準モデル(8.3%)」「総務省方式改訂モデル(73.3%)」「独自方式(1.0%)」と複数の財務書類作成モデルが存在している。どのモデルを選択するかについては各自治体の判断によるため、各自治体が公表する財務書類を比較することは難しい状況となっている。
  2. 2.6割以上の団体で固定資産台帳が電子化されておらず、約7割の団体で有形固定資産の取得時の金額の情報がない。そのため、資産の正確  な把握ができていない状況である(P13)
    加えて、固定資産台帳の整備時期については半数以上が「未定」となっている。現状では半数以上の団体が固定資産台帳を財務書類に使用できる目途さえ立っていない。このように、多くの団体では財務書類を資産債務改革に役立てるのが難しい状況である。資産債務改革という目的から考えれば、まずは固定資産台帳の整備を急ぐ必要がある。
  3. 3.有形固定資産の評価方法は、約8割の団体が過去の決算額の積み上げであるため、財務書類の有形固定資産額は実態とは異なっている(P9)
    過去の決算額の積み上げに使用するデータ(決算統計)は、昭和44年度以降に作成されており、取得時の有形固定資産の情報しか把握する事ができない。昭和43年度以前の情報、昭和44年度以降の除売却資産や譲渡で取得した資産については把握する事ができない。現状、約8割の団体が決算統計データを使用している。
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